「クラフトコーラ」人気の秘密 新商品が続々と…ブームの理由をコーラマニアが解説

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最近の世相も追い風に

 昨今のノンアルコール飲料の普及も、クラフトコーラにとって追い風かもしれません。欧米では「ソーバーキュリアス」と呼ばれる、あえて飲酒をしないという選択をする人々も登場するようになりました。また、アルコールハラスメントという言葉も世間に浸透し、飲みの席でもノンアル需要は増加してます。

 とはいえ、現状では、ソフトドリンクメニューがそれほど充実していないお店も多くあります。「UMAMI COLA」代表の山田貴久氏は、膵炎を患った関係でアルコール類が一切飲めなくなりました。グルメでもある山田氏は退院後に様々なお店に行き、そこでノンアルコールドリンクの選択肢の少なさに気づいた経験が、「UMAMI COLA」開発の理由の一つになっているそうです。

「アルコールが入っていないからこそ美味しい」という、新しい価値観を開拓しようという野心をもった人々が、クラフトコーラ業界に集まってきているようにも感じています。そういった人々は決してお酒が苦手なのではなく寧ろ大好きであり、それ以上に新たな飲料の開発に挑戦しようとする熱い心を持った人々なのです。

 飲食店での酒類提供が自粛要請されたもとで、一時的に自家製のクラフトコーラを出すbarも見かけるようになりました。ゴールデンウイーク中だけの期間限定のつもりで販売したクラフトコーラが好評で、現在でも販売を続けているお店もあります。酒類の規制で清涼飲料が発展するという現象は、禁酒法時代のアメリカと非常によく似ていると思います。

「クラフトビール」や「クラフトジン」など、素材や製法にこだわったアルコール飲料が、その地域で愛されていました。そして今度は、老若男女問わず楽しむことができる「クラフトコーラ」の番なのです。

お勧めのクラフトコーラ3選

 最後に私のお勧めのクラフトコーラをご紹介したいと思います。

【その1 UMAMI COLA】

「UMAMI COLA」は、新潟の有名な酒蔵、八海山の麹甘酒がベースとなったクラフトコーラです。エルダーフラワー、ホーリーバジル、シークヮーサー等が核となったシロップはとても香り豊か。お米由来の優しい甘さとコーラ感との相乗効果は想像以上で、とても滋養強壮に効果がありそうです。私は仕事柄、沢山の種類のコーラを飲むのであまりリピート購入はしないのですが、「UMAMI COLA」だけは何度も飲んでいます。

【その2 TOBA TOBA COLA】

「TOBA TOBA COLA」は、鹿児島県喜界島在住のご夫婦が丹精込めて作られているボタニカルクラフトコーラです。喜界島の在来柑橘種である島みかんが使われ、その酸味の強い香りが極上です。クラフトコーラでよく使われるきび糖も、TOBA TOBA COLAには喜界島産のきび粗糖が使われています。コーラの語源となった「コーラナッツ」も使われていますよ。

【その3 カカオ生コーラ】

「カカオ生コーラ」は京都の食品ブランド「SIZEN TO OZEN」が発売しているクラフトコーラです。コーラナッツの代わりにカカオを使用しているのが特長です。とにかく濃厚で、カカオと柑橘類とスパイス類の合わさったコクのあるシロップは唯一無二の個性を発揮しています。スモーク瓶にシックなデザインなのでプレゼントにも最適です。

 以上お勧めをした3種類のうち「UMAMI COLA」と「TOBA TOBA COLA」は、赤坂のカフェ「CAFE SANS NOM AKASAKA」で飲むことが可能で、店内ではシロップ瓶も販売しています。ぜひ一度、足を運んで飲み比べてみてください。

 勿論、全国に何百種類もあるクラフトコーラは、どれもこれも魅力に溢れています。ぜひ皆様も見かけたらお手に取ってみてください!

空水りょーすけ
コーラ専門サイト「コーラ倶楽部」代表、コーラ専門情報メディア「Cola-Fan」編集長。10年ほど前にコーラ趣味を志し、現在まで様々なコーラを飲んできました。「コーラとは何か?」という疑問の答えを見つけるために活動しています。Twitter(@soramizuryosuke

デイリー新潮取材班編集

2021年7月1日掲載

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