「はるやま」創業家で姉が弟のパワハラ気質を指弾 「これ以上犠牲者が出るのは耐えられない」

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 そういえば、ビジネス街を歩いていても「三つ揃い」のスーツ姿なんてあまり見なくなった。オフィスファッションのカジュアル化で、紳士服業界はどこも悪戦苦闘中だが、業界4位の「はるやまホールディングス」も例外ではない。

 同社の2021年3月期売上高は前期比24・4%減で、最終損益は48億円の赤字。経営責任にけじめをつける意味もあってか、5月半ば、オーナー家出身の治山正史社長(56)が会長に退き、ライバルのAOKIから新社長を迎え入れる人事を発表した。ところが、株主総会を目前にして、思わぬ相手が立ちふさがった。治山氏の実姉の岩渕典子氏である。

〈治山正史の取締役選任反対のお願い〉

 そう書かれた文書が同社の株主に送り付けられたのは、5月下旬のこと。差出人は岩渕氏本人だ。はるやまの2・1%の株を持つ大株主でもある。

〈正史と私は、仲の良い姉弟として育ち、今でも大切な弟である事に変わりありませんが、同時に、私にとって、はるやま、という会社も兄弟同様であり、社員・取引先様は家族です〉

 実姉が弟の何を問題にしているのかというと、

〈弟は、自分の思う通りにいかないと社員にあたり、新規事業を始めても気に入らないと放り出し、自分に意見する社員は、左遷・退職に追い込む事を繰り返しております。弟のせいで、これ以上、社員から犠牲者が出るのは耐えられません〉

 弟をわがままでパワハラ気質だと指弾しているわけである。

 経済誌「財界」の村田博文主幹が言う。

「スーツが売れないうえにコロナによるテレワークの普及で、紳士服業界は二重の打撃を受けています。業界トップの青山商事はスーツ売り場を縮小してコンビニを入れ、2位のAOKIも業態転換を急いでいます」

 だが、はるやまの場合、新規事業はどれも中途半端でうまくいっていない。いきおい、治山社長の焦りと怒りは部下にぶつけられて“被害者続出”というわけだが、岩渕氏は昨年も治山社長の取締役選任議案に反対したものの、この時はぎりぎりで選任されている。

 そこで文書を配った岩渕氏に聞くと、

「お話しすることはありません」

 あまり紳士的とは言えない「姉弟バトル」の決着がつくのは6月29日である。

週刊新潮 2021年6月24日号掲載

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