巨人「ウィーラー」、歴代の高額外国人選手と決定的に異なる“すごい貢献度”
阪神に独走を許し、早くもセ・リーグ3連覇に黄色信号が灯っている巨人。ただそんな苦しいシーズンの中で、ここまでのMVPを一人選ぶとなるとウィーラーを推す声が多いのではないだろうか。ここまでセ・リーグの首位打者を争う高打率をマークし、故障者が多いチームの中で岡本和真とともに打線を牽引する働きを見せている(打率:.330 本塁打:7 打点:31 6月25日7:00時点)。新外国人選手のテームズが故障で長期離脱し、スモークも家庭の事情で突然の退団となっただけに、その存在感は日に日に大きくなっている。
支えは国内他球団を経験した選手
他球団で実績を残した外国人選手を獲得することは巨人のお家芸でもあり、これまでも数々の選手が主力となっている。2000年以降に他球団から移籍した主な選手と、巨人での成績を以下のようにまとめてみた。
ペタジーニ(2003年にヤクルトから移籍)
在籍2年 217試合 218安打63本塁打165打点3盗塁 打率.305
ローズ(2004年に近鉄から移籍)
在籍2年 235試合 241安打72本塁打169打点5盗塁 打率.267
イ・スンヨプ(2006年にロッテから移籍)
在籍5年 458試合 421安打100本塁打256打点12盗塁 打率.275
アリアス(2006年に入団。過去にオリックス、阪神に在籍)
在籍1年 17試合 10安打2本塁打5打点0盗塁 打率.167
ラミレス(2008年にヤクルトから移籍)
在籍4年 569試合 666安打148本塁打430打点8盗塁 打率.307
クルーズ(2016年にロッテから移籍)
在籍2年 90試合 80安打11本塁打40打点0盗塁 打率.242
マギー(2017年に入団。過去に楽天に在籍)
在籍2年 271試合 307安打39本塁打161打点6盗塁 打率.300
ゲレーロ(2018年に中日から移籍)
在籍2年 183試合 138安打36本塁打94打点3盗塁 打率.240
こうしてみると、アリアスとクルーズ以外は主力として結果を残している。また、この期間に国内の他球団でプレー経験のない純粋な“新外国人”の野手も多く入団したが、それなりの成績を残した選手は、ロペス(2013~2014年)とギャレット(2016~2017年)くらいしか見当たらない。この結果を見ても、巨人の外国人野手が、いかに国内他球団を経験した選手によって支えられていたことがよく分かる。
年俸は格安の5000万円
しかし、ウィーラーがこれまでの選手と大きく違うのは、“費用対効果”だ。過去の移籍組の選手たちは元々在籍していた球団と条件面で折り合いがつかずに退団となり、いわゆる“マネーゲーム”によって、巨人への入団が決まったケースが大半である。
巨人に入団が決まった当時の推定年俸を見ると、ペタジーニが7億2000万円、ローズが5億5000万円、ラミレスが5億円、ゲレーロが4億円といずれも高額な契約となっている。また、イ・スンヨプも1年目こそ1億6000万円と、外国人選手としては、それほど高い金額ではなかったが、2年目からは4年総額30億円と言われる“超大型契約”を結んでいる。
一方、ウィーラーはトレードで楽天から巨人に移籍した。今シーズンの年俸はこれまでの実績を考えると、格安とも思われる5000万円である。仮に、このままの調子を維持して、好成績をおさめれば、来季は一気に年俸アップすると考えられる。だが、これまでの移籍組と比べれば、かなり安い“投資”だったことは間違いないだろう。
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