90歳になった池袋暴走「飯塚幸三」被告 有罪確定でも刑務所に入らない可能性

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世論は猛反発?

 刑事訴訟法の第482条は、刑の執行停止について定めている。その中で8つの事由が挙げられているが、ここで注目したいのは【1】と【2】だ。それぞれ引用してみよう。

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【1】刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞(おそれ)があるとき。

【2】年齢70年以上であるとき。

 2019年4月に起きた東京・池袋の暴走死亡事故。旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告(90)が運転する乗用車「プリウス」にはねられ、松永真菜さん(当時31)と長女・莉子ちゃん(同3)が死亡した。

 飯塚被告は刑事裁判で自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われている。東京地裁では6月21日、遺族の松永拓也さん(34)が被害者参加制度を利用し、被告に法廷で質問を行った。

 被告は車の不具合が原因と主張し、無罪を訴えている。松永さんが証拠との矛盾を指摘しても、「自分の記憶では、ブレーキを踏んだのにますます加速した。車の電子系統に不具合が起こることは時々ある」と反論。無罪の主張を改めることはなかった。

 真菜さんの父親・上原義教さん(63)も出廷し、飯塚被告に事故後の生活を質問した。すると返ってきた答えは「持病のリハビリが辛い」と答えた。

収監されない可能性

 日刊スポーツ(電子版)は6月21日、記事「飯塚幸三被告『リハビリ…つらい毎日』 筋違い回答に遺族涙し憤り『軽蔑』」を配信した。この記事から、飯塚被告の回答を引用させていただく。

《事故の年の暮れくらいから、ふらつきが非常に大きくなりまして、病院を変えました。難病であることも秋に分かり、毎日、リハビリしか…薬が効かないんです。運動機能を低下させないよう毎日、やっております。なかなかつらい毎日です》

 耳を疑う発言だが、閉廷後の記者会見で上原さんは「この人はどうしても直らない」と強く批判。「私が馬鹿でした」と涙を浮かべた。

 松永さんも「毎日辛かったですって、よく言えたな」と憤り、「あの人は変わらない。軽蔑しました」と無念の表情を浮かべた。

 飯塚被告に対する疑問の声が、どれだけネット上で渦巻いたかは、今さら言うまでもない。法廷の場面に話を戻すと、松永さんは飯塚被告に「刑務所に入る覚悟はあるのか」と質問すると、被告は「はい」と答えた。

 だが法曹関係者から「刑務所には収監されないかもしれない」との声が上がっているのをご存知だろうか。

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