“夜の女性”の魔性の魅力に惹かれて不倫… 世間は狭いと痛感させられた意外な結末
事実は小説より奇なりという。長年、不倫をはじめとした男女の関係の取材を続けていると、「そんなことあるの?」と思うような経験をしている人に出会う。
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加藤晋さん(53歳・仮名=以下同)の話を聞いたときもそうだった。訳ありの関係になった女性が原因で、晋さんが大事にしてきた家庭は崩壊した。
晋さんは大学卒業後、ある有名企業に就職し、27歳のときに2年後輩にあたる早希さんと結婚した。
「当時でも、少し早めの結婚でしたね。でも僕は彼女とつきあってすぐ、この人と結婚したいと思っていたんです。家庭をもって落ち着きたい気持ちもあった」
部署は違うが同じ会社での共働き生活が始まった。3年後に長男が、その2年後に次男が生まれた。晋さんは34歳のときにローンで東京郊外に一軒家を購入、絵に描いたような典型的な「幸せ家族」がスタートした。
「ごく平凡な家庭でしたが、それでいいと思っていました。妻は二人目を出産後、本人の希望もあって退職。下の子が小学校に入ってからはパートをしながら家計を助けてくれていました」
晋さんの仕事が多忙なときは家に帰れず、会社近くのカプセルホテルに泊まることもあった。だが、彼は浮気などしたこともないし、実際、そんなことをする余裕もなかったという。
「本当に家庭が好きだったんです。実は僕が育った家庭は、機能不全でした。父は横暴で、そんな父に怯え、ストレスがたまると子どもに暴力を振るう母。僕は妹を守るのに必死だったけど、中学時代は荒れたりもしました。だから自分が結婚したとき、本当に平凡でいいから穏やかな家庭を作りたいと思った」
早希さんは、家庭を作るためのパートナーとして最適だったのだ。
「家に帰ると、子どもたちがたいてい騒いでいて、早希が『いいかげんにしなさいよ、ほら、パパが帰ってきたよ』と言い、お帰りという声が響く。子どもたちが眠りにつくころ僕は夕食をとり、早希が差し向かいで一緒にビールをちびちび飲んでいる。早希は料理が上手なんですよ。『これ、おいしいね』と言うと、『きっとあなたが気に入ると思った。けっこう手間がかかるのよ』と軽く自慢したりして。『今週末、どうする?』『たまには遊園地でも連れていくか』『ふたりとも喜ぶわ』なんていう、なんでもない会話を交わす。そんな毎日が本当に好きでした」
晋さんの声が途切れた。当時を思い出して感傷的になっているようだった。今の晋さんは、思い出にすがるようにして生きているのかもしれない。
上司の紹介で行った店で…
息子たちはどんどん成長していき、晋さんも「それなりに」出世した。それでも決して高給取りというわけではなかったから、早希さんのやりくりが上手だったのだと、彼は妻に敬意を示す。長男は私立の大学に入学、まじめなタイプで家庭教師や塾でのアルバイトをしながら学業にも精を出していた。
「僕は営業一筋なんですが、取引先を接待するために女性のいる店へ行くことも多々あります。僕自身はそれほどお酒も好きではないし、自分からは行きませんが、接待となれば仕方がない。だいたいいつも決まった店に行くんですが、そのときはどうしても席が埋まっていたので、上司の紹介で別の店に行くことになりました」
そこで出会ったのが、サクラさんという女性。美人でスタイルもよく気遣いもできたため、取引先も大喜びだったという。
「彼女にお礼を言うために店を再訪したんです。聞けば彼女、まだこの世界に入って1ヶ月だという。こういう言い方をしたら失礼だけど、銀座のクラブみたいな高級店ではない。だけど彼女の接客は最高にすばらしかった。こういう女性もいるんだなと心を揺さぶられましたね」
晋さんは接待というとその店を使うようになった。指名の筆頭はサクラさんである。彼女はあっという間に店のナンバーワンになっていたが、決して傲るところはなかったし、話題も豊富だった。
「あるとき、接待をすませて車を見送って、ふと振り返ったらサクラが立っていたんです。『もうじき仕事が終わるんですが、軽く食事でもいかがですか』と丁寧に誘われて。断る理由はありませんでした」
彼にとって、サクラさんは社外の仕事のパートナーのような存在になっていた。取引がうまくいかずに困っているときも、うまくいってさらにいい取引をするためにも、サクラさんの力が必要だった。だが彼は、サクラさんとふたりきりで会おうとはしなかった。せいぜいチップをはずむくらいしかできなかったのだ。
「やはり住む世界が違う人だと思っていたから。僕はしょせんサラリーマンですし、自腹で飲むより家で妻と飲みたい。ただ、食事に誘われたときは、これでお礼をすることができるとホッとしたのも事実です。彼女の好きなものを食べさせてあげたいと思いました」
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