横浜市長選に「小此木大臣」が名乗り ダークホースは「ベイスターズ元社長」でカジノはどうなる?
自民党がカジノ反対へ?
一方、カジノ賛成派の自民党はというと、候補者が浮かんでは消えを繰り返してきた。
「林市長は4選に向け出馬する気まんまんですが、75歳と高齢であることから、菅首相や県連は難色を示しています。これまで、三原じゅん子参議院議員、前神奈川県知事で日本維新の会所属の参議院議員・松沢成文氏、『タリーズコーヒージャパン』の創業者で元参議院議員の松田公太氏、元TBSアナウンサーの渡辺真理氏などの名前が取り沙汰されては消えてきました」(自民党県連関係者)
だが、19日になって、仰天情報が飛び込んできた。自民党神奈川県連会長で国家公安委員長の小此木八郎氏が立候補の意向と一斉に報じられたのである。現職閣僚が市長選に出馬するのは異例のことだ。しかも本人は、「IRは市民の反対が根強いので断念する」と周囲に語っているという。今後、自民党を離党して無所属で出馬する予定というが、
「賛成派からすれば寝耳の話です。菅さんはもともと小此木氏の父親の秘書から政界入りしたこともあり、小此木氏とは『はっちゃん』と呼ぶ昵懇の関係。当然、今回の出馬は菅首相の意向を汲んでのことでしょう。菅さんとしてはこのままでは勝ち目がないので、泣く泣く賛成の旗を下ろしてしまったということなのでしょうか。これまでIR誘致で動いてきた関係者は大混乱しています」(同前)
一方で、菅首相がカジノを諦めるわけがないという声もある。
「前回の林市長のように、選挙中は『白紙』などと訴え、受かった途端に再び旗を振り上げる作戦なのかもしれません。こんな姑息な手が2度も通用するとは思えませんが……」(同前)
野党にしても、もし小此木氏がIR反対で出馬するとなれば、根本から選挙戦を見直さなければならなくなるとあって、両陣営とも大混乱の様相なのだ。
固唾を飲んで見守るIR事業者
こんな絶望的な状況を、指をくわえて見ていなければならないのが、横浜での開業を目指すIR事業者である。昨年1月、パシフィコ横浜で「統合型リゾート産業展」が開催された時は、運営権獲得を目指す6つの事業者がブースを出すなど大盛況だった。
だがその後、コロナ禍が影響して、有力視されていた事業者が次々と撤退を表明。最終的には、シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」とゲーム・パチンコメーカー大手の「セガサミー」、「鹿島建設」の3社からなるグループと、マカオが拠点の「メルコリゾーツ&エンターテインメント」と「大成建設」の2社によるグループが残った。
「一騎打ちになったとはいうものの、反対派市長が誕生すれば、これまでの努力はすべて水の泡。いまから他の自治体に移りたいと思っても間に合いません。事業者としては、賛成派が選挙に勝つことを祈るばかりの気持ちでしょう」(前出・木曽氏)
横浜にカジノができるか否かは、首都圏の住人にとっても大きな関心事だ。残り2カ月となった市長選から目が離せない。