「椎名桔平」「原田知世」がホルモン焼きデート 悪徳コンサルと内縁の妻で意気投合か

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 ホルモン焼きデートの現場をFRIDAY取材班に撮られ、「超大物の熱愛発覚!」と報じられた椎名桔平(56)と原田知世(53)。意外な組み合わせのようだが、実は2人は2018年6月のドラマで、内縁の夫婦役で共演している。お互いに近年の代表作の1つと呼べる作品だった。

 2人の内縁の夫婦役での共演が記憶にない人も多いのではないか。それもそのはず。放送したのは地上波ではなく、BS有料放送のWOWOWだったからだ。

 ドラマはWOWOWのオリジナル作品で、タイトルは「不発弾~ブラックマネーを操る男~」(全6話)。椎名は企業に粉飾決算を指示する主人公の悪徳コンサルタント役に扮した。一方、原田は椎名の悪事を知らず、健気に支える内妻を演じた。

 経済界の暗部が描かれたドラマなので作風は重かった。登場人物は悪党ばかり。椎名の演じた男は青春期に大人たちに騙されたため、極悪非道な拝金主義者になったという設定だった。だが、純粋な原田の前では真人間に戻るという筋書きだった。

 椎名が演じる役柄は善人から悪党まで幅広い。6月10日に終了した連続ドラマ「桜の塔」(テレビ朝日)では準主役の悪徳キャリア警官に扮した。出世のためなら人も殺した。気に食わない部下は執務室内で投げ飛ばした。とんでもない奴だった。

 一方、善玉でも主役を張る。代表作の1つは2005年の2時間ドラマ「三ツ鐘署シリーズ『深追い』」(TBS)。事件関係者の未亡人を好きになってしまうナイーブな主人公の警察官を演じた。やがて自分が利用されていたことを知り、深く傷つく。

 2010年の映画「アウトレイジ」では恐れを知らぬヤクザに扮した。殺すことも殺されることも平気な化け物のような男だった。特異な役も得意だ。2010年の「SPEC」(TBS)では死んでも死んでも蘇る警視庁公安部幹部を演じた。後にこの男は存在がパブリックドメインだと判明する。

 話題作には常に出演しているという印象もある。2019年の「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日本テレビ)では高校の立てこもり事件を担当する刑事役に扮した。2015年の映画「暗殺教室」ではタコ型超生物の暗殺を狙う中学生を助ける戦闘のプロを演じた。

 役者の中には依頼された役が自分の素顔と近いかどうかで受けるかどうかを決める人が珍しくないが、椎名は違う。

「台本が面白いか、魅力的な人物に作れるかどうかで選ぶ。(自分に)向いてなければ作ればいい。分からないことはリサーチして」(*1)

 もともと役者志望だったわけではなく、サッカー界を目指していた。小学校からサッカーを始め、三重県立上野高時代は国体にまで出場した。フォワードの好選手だった。役者として芽が出る前には明石家さんま(65)のサッカーチームに所属し、花形選手だったこともある。

 青山学院大進学後は迷わずサッカー部へ。ところが、知人に頼まれてCMに出てしまったところ、当時のアマチュア既定に触れ、半年間の対外試合出場停止処分に。これがきっかけとなり、大学2年の時にサッカーから離れた。

 その後は次の生き方を模索した。結果、在学中に役者修業に入る。21歳だった1986年には脚本家の倉本聰さん(86)が監督した「時計 Adieu l'Hiver」でデビューを遂げた。

 だが食えない状態が長く続いた。やっと連ドラに本格的に出演できたのは30歳だった1995年。作品は福山雅治(52)主演の「いつかまた逢える」(フジ)だった。椎名は福山の高校の同級生役。平均視聴率が20%を突破したこともあり、椎名の顔と名前は一躍メジャーになった。

「知世は天才です」大林監督の絶賛

 一方、原田は中学3年生だった1982年、角川映画の新人募集に応募。特別賞を得た。審査に当たっていた角川春樹氏(79)が惚れ込み「息子の嫁にしたいくらい」とまで言った。

 角川氏は当初、原田を芸能界に入れようとしなかった。ぞっこんだったからこそ、生き馬の目を抜くような芸能界で原田が傷つくことを心配した。そこで故・大林宣彦監督に「女優にしたいとは思わないんだけど、1本だけ映画をプレゼントしたい」と頼んだ。

 その作品がデビュー作「時をかける少女」(1983年)である。原田の初々しさや大林監督の斬新な映像処理、カット割によって、文字どおり衝撃作となった。

 薬師丸ひろ子(57)主演の「探偵物語」の併映作品だったはずが、いつの間にか「時かけ」の話題で持ちきりになった

 原作は筒井康隆氏(86)が書いたジュブナイルSF小説。その後、何度もリメイクされたが、原田・大林版を超えた作品はない。原作の世界観に原田と大林監督の映像がマッチした。

 この映画のクランクアップ後、大林監督は角川氏に「知世は天才です」と書いた手紙を出した。この手紙もあって、原田は役者を続ける。

 大林監督の見立てが正しかったかどうかは判断が分かれるかも知れないが、原田が得がたい存在であるのは間違いない。原田は加齢と共に男も女も失いがちな透明感と清潔感に満ちている。

 その個性が存分に生かされた作品の1つが2014年のドラマ版「紙の月」(NHK)だろう。映画版では宮沢りえ(48)が演じた悲しき横領犯を演じた。

 何不自由のない暮らしをしてきた主婦が銀行のパートタイマーになる。すぐ返すつもりで悪気なく顧客の金を使ってしまう。すると歯車が狂い始める。横領が止まらなくなった。やがて全てを失う。

 透明感と清潔感のある原田が演じたから身近に感じられ、背筋が凍った。

 2人はともに役者というだけでなく、人生の歩みにも共通点がある。椎名は山本未來(46)と離婚し、バツイチ。原田もイラストレーターとの離婚歴がある。

 さて、大人のカップルのこれからの歩みは……。

※2009年4月24日付、毎日新聞夕刊

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月20日掲載

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