流行の「SDGs」でバラエティ番組から名物企画が消える日
5月31日~6月6日の1週間、日本テレビが行った“Good For the Planetウィーク”キャンペーンをご存知だろうか。国分太一、城島茂、松岡昌宏をパーソナリティに、スペシャルサポーターに橋本環奈、特別大使に市川海老蔵を立て、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに、日テレ系の40以上の番組が参加した。地球にやさしい、人にやさしい番組には、視聴者から意見が寄せられたものの、日テレは今、自縄自縛に陥っているという。
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日テレ関係者が言う。
「実は、4月期のドラマ『恋はDeepに』も主人公の石原さとみが環境破壊を阻止するというテーマがあり、SDGs推進が背景にあるドラマだったんです」
そこに人魚姫が絡んできたものだから分かりにくくなってしまったが、なぜ日テレはSDGsに熱心なのだろうか。
最近よく聞く“SDGs(Sustainable Development Goals)”とは、日本語で“持続可能な開発目標”のこと。平たく言えば、人や地球に優しい未来を見据えた活動のことで、2015年に国連で全加盟国により採択され、17の分野別の目標と169項目の達成基準が設けられている。日本も全国務大臣を構成員とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、取り組んでいる。
政府からの強い要請
また国連は「SDGメディア・コンパクト(協定)」を発足し、SDGs達成の後押しとなるべく各国の報道機関への署名を求めた。日本のテレビ局や新聞社なども参加しているが、中でも日本テレビは最初に加盟した報道機関のひとつという。先の日テレ関係者は言う。
「日テレの大久保好男会長は民放連の会長でもあるので、率先して動かないといけませんからね。現在は他局でもSDGsをテーマにしたスペシャル番組が放送されたり、レギュラーの番組でもSDGsをテーマにした企画が放送されるようにもなりました。テレビ各局のSDGsブームは、世間の関心が高まっていることも影響しています。しかし、それ以上に、政府(総務省)から強い要請を受けていることも関係しています。NHKを含めすべてのテレビ局は、総務省の管轄下にあります。テレビの電波は免許制ですから、お上の要請を断ることなどできません。民放でもSDGs推進していかねばならなくなったんです」
日テレは公式ページで以下のように高らかに宣言している。
《公共性・公平性を担う報道機関としての/社会的責任を果たしながら/持続的な成長を実現し社会に貢献します》
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