立民「森裕子」副代表が「北朝鮮にコロナワクチンを送れ」 浅はかな発言の根底にある考え

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ワクチン問題の全発言

 現在の北朝鮮も経済制裁やコロナ禍などで、やはり同じような厳しい状況にある。北朝鮮の心を開かせるためにも、蓮池薫さんの提言をどのように受け止めるか、と森議員は、加藤勝信・拉致問題担当相(65)に質問した。

 加藤担当大臣は「日朝平壌宣言に基づき、拉致・核ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を精算し、国交正常化を目指す考え、これは一貫している」と答弁した。

 つまりは、さらりとかわされたわけだが、森議員は「もっと踏み込んだ、具体的なものを提案」する必要があると反論。日本が3億6400万回分の新型コロナウイルスワクチンを確保しているため、日本人全員が2回打ったとしても余りが出ると厚労省のデータを紹介した。この後に行われた質問は、全発言を動画から引用させていただく。

《北朝鮮の人口は約2500万人でありますけれども、拉致問題解決のための対北交渉についてあらゆる機会を利用すると繰り返し仰っているわけですから、この余剰ワクチンを北朝鮮に対して人道支援ということで提供するということはいかがでしょうか?》

 森議員の“提案”に茂木敏充外相(65)は、ワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み「COVAX」への支援が必要と指摘。更に北朝鮮には国交正常化が行われたのなら経済支援を行うとのメッセージは送っていると答弁した。

「単なる思いつき」

 森議員は「説明は分かります」と一部の答弁には理解を示しながらも、「本気度が感じられない」と強い口調で批判した。これに茂木外相は、次のように反論した。

《北朝鮮自身はですね、コロナの感染者出ていないと言っているわけですよ、そして、現在、ワクチンが欲しいということも国際社会に示していない中でどうするか、という対応にはなると思います》

 森議員は「そんな評論家みたいな答弁を求めているわけじゃないんですよ」と重ねて。「ワクチンを提供ますとメッセージを出せばいいじゃないですか。とにかく動かないんだから」と再び自説を展開した。

 元毎日新聞の論説委員で北朝鮮情勢に詳しい東京通信大学の重村智計教授は、森議員の“提言”を「北朝鮮の実情を知らない人が、単なる思いつきを口にしただけです」と呆れる。

「北朝鮮はロシアや中国にさえ、『ワクチンを供与してほしい』と頼んではいません。日本がワクチンを一方的に北朝鮮へ送ると言えば、彼らは『毒でも入っているんじゃないか』と疑うのが普通でしょう。彼らは、プライドの高い民族です。日本の施しは受けないと反発する。韓国の前外務大臣は北朝鮮にコロナ被害があると述べて、北朝鮮から激しく批判されました。拉致問題の解決には全く役立ちませんし、これまでにも国会議員が思いつきの質問を口にしたことで議論が停滞したことが何度もありました」

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