「大豆田とわ子と三人の元夫」 今夜最終回の見どころをおさらいする

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初恋の人も登場

 こうして文字にすると、なかなかにベタな言葉を直球でぶつけている。とわ子が恋に浮かれたら必死で制止しようと悪あがきするも、とわ子の心が一番目の元夫・八作にあることもいち早く気づく敏感なしんしん。切ない。なぜなら八作は言葉を発しない人だから。プロポーズも、好きという言葉もモヤッとしか表現しない男に、最愛の女は心を向けているのだから、こんなに切ないことはない。脳内では、言葉のマシンガンを連射するしんしん、でも竹光いやなんなら丸腰の侍・八作には勝てず……と絵ヅラも浮かぶ。

「若くて賢くて美しいのだからまだまだこれから」と言ってあげたいけれど、どうかな、傷が最も深そうで。それでも、一番変わったというか、脱皮して成長しているのもしんしんだ。店員に挨拶するようになったし(しんしんに好意を寄せる役柄を演じた石橋菜津美の存在も大きいが)、物事を否定的にとらえない発言も多少増えてきた。器用な岡田が不器用なしんしんと一体化し、神々しくも見える。意地悪で面倒くさい役に開眼した岡田もある意味で脱皮。今後演じる役に注目していきたいところだ。

 最終回には、とわ子の初恋の人・甘勝岳人も登場するらしい。演じるは「ローカル深夜恋愛ドラマの帝王」こと竹財輝之助だ。彼を愛おしいと思えるかどうか。そして、とわ子は、元夫たちは、唄ちゃんは、新しい日常に突入できるだろうか。今夜、大団円を迎える。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月15日掲載

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