元徴用工裁判で大法院判決を否定した判事に降りかかる 「史上最悪の判決」の汚名と総バッシング
日韓協定で完全かつ最終的に解決済み
<主張1>
徴用工問題は、1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。協定の2条3項に、「一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であって、同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする」とある通りだ。
さらに、協定の交渉過程で日本側の代表が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねると、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」との回答をした“対日請求要綱”も存在しており、これは2019年に日本の外務省が公開した。つまり、この問題は1965年における協定の合意内容通り、韓国政府に無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与したことで完結されたのである。あとは韓国内で解決すべきことというわけだ。
続いて請願人が、「1991年、日本外務省の報告書でも韓国人の個人請求権は有効だと認めている」と言及している部分について、これは当時の柳井俊二外務省条約局長が「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない」と述べたことを指している。しかし、柳井局長は翌年に請求権協定2条3項に基づき「国及び個人の財産、権利及び利益に対する措置」及び「請求権」に対する外交保護権が消滅したと答弁している。そのため、局長の発言を根拠に請求権を主張することはどう見ても無理筋だ。
さらに、「2007年、日本の最高裁もまた、個人請求権の履行を正当と判示したことがある」については、最高裁は司法上の救済はできないとする一方で被害者救済に向けた関係者の自発的努力を促した。これを受けて日本の企業側は実際に、被害者に対する謝罪と賠償を行っている。最高裁がこのように言及した背景には「旧朝鮮半島出身労働者の損害賠償請求権についての実体的権利は消滅していないが、これを裁判上訴求する権利が失われた」という日本政府の見解が影響している。この見解によると、原告側は司法の元で請求権を主張することはできず、仮に請求したとしても本来であれば敗訴は免れないということだ。
国際社会が日本の統治を認めていた
<主張2>について、日本が韓国を植民地支配した事実はない。日韓併合に関する条約の締結自体合法である。イギリスは1902年の「第2次日英同盟」で日本の韓国統治を承認した。また、1905年の「桂・タフト協定」でアメリカも承認し、さらには同年の「ポーツマス条約」でもロシアが承認、1907年には「日仏協約」でもフランスが承認している。国際社会が日本の統治を認めていたことは明らかだ。
併合時、日本政府が韓国に投資した金額は莫大なもので、日本国内において政府に対する非難の声が上がったほどだった。日本が韓国を植民地という位置づけにしていたのであれば、このような莫大な投資はなかったはずだ。また、1920年に梨本宮の守正王の第1王女・方子妃は韓国の李氏王族の李垠(イ・ウン)殿下と結婚された。植民地であれば、そのようなこともなかっただろう。
<主張3>については、確かに日韓関係や米韓関係は政治問題であって、司法が影響を考慮する必要はないというのは、筋が通っているようにも思える。しかしながら、これまでの韓国の司法のあり方を振り返ってみると、まさしく国内政治に常に影響されてきたのは明らかであって、今回だけ急に「司法の独立」を主張するのはいささか苦しいのではないか。
そもそも今回の請願もまた政治的な思惑に満ちていると見るのが自然だろう。
そして、今回の判決が示す通り、あまりに国家間の約束を無視したような判決を下し続けた場合、日本との関係改善は望めないし、そのことが米国の不興を買う可能性は高いだろう。
現在、ソウル中央地裁における強制徴用被害者が起こした20件以上の損害賠償訴訟が係争中であるのを見ても分かる通り、元徴用工らに個人の請求権を認めれば、形を変え次から次へと提訴され、カネを毟り取られる可能性が出てくる。これで日韓関係が改善されるはずがない。
そもそも、日本を相手取った請求を韓国の司法が裁くべきでなく、請求を望むのであれば、日本の司法下か国際司法下で判決を促すべきである。
しかし、被害者代表のチョン・ドクファン氏は「自国民を守らない国家と政府は必要ない」と反発し、被害者家族のイム・チョルホ氏も「判事たちは韓国の判事なのか。韓国の法で裁いたのか」と自身らの主張が通らなかった判決に不満を述べている。
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