「メイドカフェ」「ストリップ」を摘発の理由 五輪前の浄化作戦か

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 東京・秋葉原にメイドカフェが登場してから今年で20年が経つ。今では「メイド通り」と呼ばれる一画もあって、若い女性が「お帰りなさいませ! ご主人さま」と客引きをしている姿は見慣れた光景だ。だが、目立ち過ぎると乗り込んでくるのが官憲である。

 警視庁の生安特捜隊が、秋葉原のメイドカフェ「フルール」経営者の前田昌毅容疑者(47)ら2人を風営法違反(無許可営業)で逮捕したと発表したのは5月24日のこと。女性店員に客の接待をさせ、風営法が禁じている午前1時以降も営業を続けていたという。

 風俗ライターの生駒明氏によると、

「メイドカフェはガールズバーと同じで会話はしても“接客”はしないのが建前。しかし、実際にはキャバクラと変わりません。それでも警察は、アキバオタクの“ガス抜き”の場として黙認していました」

 求人サイトに残っている同店の募集要項を見ると、メイドの勤務時間は風営法が適用されない午後11時まで。昨年4月には緊急事態宣言を受けて「時短営業」をうたっている。しかし、先述の通り実際には守られていなかった。

 ライバル店の店員が言う。

「メイドカフェの場合、客引きの女の子は1店舗あたり1人というルールがありますが、フルールは通りに5人も6人もメイドを立たせていました」

 コロナ不況をしのぐための勇み足だったのかもしれない。それにしても、なぜ今さらの摘発なのか。

 そういえば、5月22日には新宿区百人町のピンサロ経営者らがホステスを店内で裸にさせたとして公然わいせつ容疑で逮捕され、また4月にはストリップ劇場「シアター上野」が、ダンサーの下半身を客に見せたなどの容疑で警視庁保安課に摘発されている。はて、下半身を見せないストリップなんてあったっけ? そこで思い出すのが、前回の東京五輪や、大阪万博だ。

 ノンフィクション作家の酒井あゆみ氏が言う。

「昔からの警察の手ですが五輪に向けた風俗浄化作戦でしょう。私の知り合いのところにも“警察が中国エステを取り締まる”という情報が入っています。要は外国人に見せたくない場所の“掃除”をしておいたということです」

 大阪でも万博開催の決定以降、風俗店の摘発が相次ぐ。東京五輪のスローガンは「感動で、私たちは一つになる」。そこに、風俗業は加えてもらえない、ようだ。

週刊新潮 2021年6月10日号掲載

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