中国のECサイト「タオバオ」の利用者が急増した理由 コロナ禍でECの副業が流行
そのホームページを見ると「掃除ロボット 410円」とある。形はルンバに似てなくもない。1ケタ値段を間違えているのではないかと疑念を抱かせるこの商品、売っているのは「タオバオ(淘宝網)」という中国のEC(電子商取引)サイト。当地のEC事情に詳しいライターが言う。
「タオバオはアリババ傘下の個人間取引サイトで、出品点数は8億点以上にのぼります。年間の流通総額は62兆円(2017年)と楽天の10倍以上の規模で、アマゾンよりでかいECサイトです」
だが、日本ではあまり利用されることがなかった。実際、中国から日本向けの越境ECは年間総額で約300億円程度。
「利用者にとっては通関が難しく、日本へ運ぶコンテナの手配も大変。さらには品質もさることながら、パソコンを注文したらUSBメモリが届くケースなどがあって、しかも返品できませんでした。何より日本にはアマゾンや楽天があるため、タオバオが必要なかった」(同)
ところがその中国ECの利用が、なぜか最近になって急伸しているという。統計でも年間20%近い増加である。理由はコロナだ。
タオバオの買物代行サービスを行う「タオバオ新幹線」の田中康晴氏が言う。
「当社は国内でECサイトを運営している個人業者さんのために、タオバオからの仕入れを代行しています。いわゆる『BtoB』ビジネスで、船会社と交渉して送料を安くし、現地で検品も行い、質の悪い商品はシャットアウトしています。お陰で、タオバオの買物代行では最大手といえる規模になりましたが、コロナの影響で収入が減った人が、副業でECを始めるケースが急増中なのです」
さて、仕入れた品物をどうするのかというと、オークションサイトなどに出品するのである。人気なのはアクセサリーやアイフォンのカバーなどで、月額15万~16万円を稼ぐ人も。
タオバオだけではない。アリババグループでは、消費者が直接品物を購入できる「アリエクスプレス」という日本語のECサイトも運営しており、こちらは発送品の追跡サービス付き。だが、そこはやっぱり中国ECである。
先のライターが言う。
「私もキャンプ用品が安かったのでアリエクスプレスで注文したのですが、到着してビックリ。品物はボロボロのビニールに入っており、セロハンテープで巻いてあるだけ。商品は使えましたが、新品だったのか不安です」