W杯予選「軍政抗議」ミャンマー選手 人権団体が至急「連絡とりたい」

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 5月28日に行われたサッカーW杯アジア2次予選の日本対ミャンマー戦で、かの国の選手の一人がとった行動が耳目を集めている。

 試合前にミャンマー国歌が場内に流れた際、軍事クーデターに反対する意思を示す3本指を立てるポーズをとったのである

 その瞬間は生中継で大写しとなっただけでなく、ニュースも〈選手が軍へ抗議のポーズ〉などと報じた。

 そこで気になるのが、この選手の今後である。

「彼がとった行動は極めてリスクが高いものです」

 と語るのは「サポートCRPHジャパン」連絡事務局の熊澤新氏。同団体は、現軍政に対抗して設立された「CRPH(連邦議会代表委員会)」を支援する在日ミャンマー人団体である。

 熊澤氏によると、前の軍政だった2008年、欧米でも有名だったミャンマーの俳優が米メディアの取材で軍を批判したところ、帰国後ただちに逮捕され投獄されてしまったという。

「状況は今の軍政下でも変わっていません。この4月、軍に批判的なセレブや有名人の顔写真が現地の新聞にずらりと並びました。指名手配されたんです。その後、彼らは次々と逮捕されています。国際舞台で公然と軍を批判した今回のサッカー選手は、一般人がSNSで抗議するのとはワケが違う。帰国したら間違いなく重罪に問われるでしょう」

 3月にタイで行われたミス・コンテストで、ミャンマー代表の女性が軍を批判するスピーチを行った。彼女は、迫害を恐れてタイに滞在し続けている。

 このサッカー選手も日本に留まることができるのか。

「くしくもこの日、政府が『本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置』として、希望者への在留期間延長を発表しました。難民認定申請審査も迅速に行うとのこと。本来これらの措置は個別に事情を斟酌して決められるものですが、今回は国籍で一括対処する。これは画期的なことです。ミャンマーの方々もホッと一安心しています」

「本人の意思が確認できれば、政府が保護できるはず。現在、ミャンマーの方々が本人と直接連絡を取ろうとしているところです」

 ミャンマー選手団の滞在は6月15日の試合まで。吉報が待たれる。

週刊新潮 2021年6月10日号掲載

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