東京五輪は既に「ガス抜き」として機能 開催の是非を巡って争うこと自体の効能(古市憲寿)
オリンピックは戦争の代わりだ、という説がある。
人間は戦わずにはいられない。だからガス抜きが必要である。国家同士が威信を懸けて戦うオリンピックのおかげで、戦争が回避されている、といった具合だ。
確かにオリンピックと近代戦争は、共に国威発揚がセットになったナショナリズムの「祭典」だ。名も知らない兵士の戦果を喜べるように、友人でもない選手の活躍に国民は拍手を送る。
ただしオリンピックでは、膨大な人命が犠牲になることもないし、都市も破壊されないし、経済的にも総力戦よりは安上がりだろう。...