プロ選手を多数輩出!知名度は低くても、大学野球で存在感を示す地方大学

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高校野球強豪校の法人が運営

 関東圏では、桐蔭横浜大(神奈川大学野球連盟)と共栄大(東京新大学野球連盟)の台頭が目立っている。ともに桐蔭学園、春日部共栄といった高校球界の強豪校と同じ法人がそれぞれ運営しているが、大学の強化が始まったのは比較的最近のことだ。

 06年に創部された桐蔭横浜大の野球部。12年秋の明治神宮大会では、九里亜蓮(広島)、山崎康晃(DeNA)を擁する亜細亜大、三嶋一輝(DeNA)を擁する法政大を破って見事に優勝を果たした。その後、神奈川リーグきっての強豪校となり、この春も大学選手権への出場を果たした。同大出身者には、社会人を経て阪神に入団した斎藤友貴哉や、同大学から初となるドラフト1位指名を受けた渡部健人(西武)がいる。

 共栄大は、16年春に東京新大学野球連盟で初優勝を果たすと、翌年春に連覇を達成。それまでの創価大と流通経済大という“2強体制”を切り崩した。この春はリーグ戦をしっかり勝ち抜いて3度目の優勝を果たし、大学選手権に駒を進めている。今年は最速151キロ右腕の小向直樹といった好投手が多く、全国大会での活躍が期待できる。

日本文理大のお家芸は「マシンガン継投」

 一方、5大会ぶりに大学選手権の出場は逃したが、大分にある日本文理大(九州地区大学野球連盟)は新興勢力の代表格だ。09年夏の甲子園で準優勝を果たした日本文理(新潟)とは全くの別法人が運営している。03年の大学選手権では、早稲田大、東北福祉大、亜細亜大と名だたる強豪を破って見事に優勝。当時の主将は、巨人で活躍した脇谷亮太だった。

 日本文理大のお家芸は、「マシンガン継投」とも言われる小刻みな継投策。優勝した03年の大学選手権決勝で7人の投手をつぎ込んでいるが、今もそのスタイルは変わっていない。その影響であろうか。同大からプロ入りした選手をみると、坂本光士郎(ヤクルト)、ケムナ誠(広島)、田中豊樹(巨人)といった中継ぎ投手が目立つ。このほか、17年の首位打者に輝いた宮崎敏郎(DeNA)もOBのひとりだ。

 この春は、ドラフト上位候補と言われる隅田知一郎を擁する西日本工大に競り負けて、大学選手権の出場権は逃したものの、下級生にも楽しみな選手は多いだけに秋の巻き返しに期待がかかる。

 歴史と伝統も大事だが、大学野球全体のことを考えると、新たな“風”が入ってくることは喜ばしいことだ。今後も全国大会の舞台で勝ち抜き、プロの世界に名選手を輩出するような新興チームが台頭してくることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月9日掲載

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