ニシキヘビ確保の園長、過去には摘発歴 現在は警察に貢献「裏側の事情にも詳しいから」

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 逃げたアミメニシキヘビを捕獲し、メディアに引っ張りだことなった動物園園長は、業界ではちょっとした有名人である。その卓越した知識のみならず、かつては警察にご厄介になったこともあったからだそう。忌まわしき過去との決別。“一皮むけた”からこそ「今」がある――。

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 捕獲した直後、テレビカメラに向けたOKサインでご記憶の方も多かろう。5月22日夕方、横浜市内のアパートからいなくなったアミメニシキヘビを発見したのは静岡県にある国内最大の爬虫類・両生類動物園「iZoo」の白輪剛史園長(52)だ。

「飼い主から連絡を受けてアパートに駆け付けたんですけど、ちょっとオカシイなと思ったんだよね」

 とは白輪園長ご本人。

「まずベランダの手すりにホコリが溜まっていたんですよ。だから、ヘビは手すりを越えていないんだろうな、と直感的に感じました。ヘビは外に逃げていない。室内にいるんじゃないかと。でも、冷蔵庫の裏とか洗濯機の中にはいなかった。そこでここ数日の最低気温と最高気温を調べたら、逃げた翌々日の最低気温が13・8度。ヘビが生きるには寒すぎるんですよ。だから、他の部屋か屋根裏などに潜んでいるとの確信がありました」

 すると、同じアパートの屋根裏の鉄骨の上でとぐろを巻くアミメニシキヘビを見つけ、無事に捕獲。“犯人はこの中にいる”。まさに警察の鑑識並みの洞察力だ。

 静岡市出身の白輪園長は幼少のころから爬虫類が好きだったという。

「ミドリガメを飼ったり、デパートの爬虫類展にコモドドラゴンやキングコブラが来ていて格好いいなと思っていました。爬虫類の魅力って媚びないところなんですよ。犬や猫みたいに人間にベタベタしない。好きが高じて研究所や水族館、動物園に爬虫類を卸す仕事をするようになったんです」

警察学校で授業も

 かく言う氏、実は警察のお世話になったこともある。

 32年前、ワシントン条約で規制されている動物を日本に持ち込もうとし、関税法に違反。その後も環境省の所管法人に虚偽の申請をし、不正に希少動物の個体登録を受けたとして警視庁などに摘発されているのだ。

「確かに警察沙汰になったこともあります、でも当時は若かったし、生き物が欲しかったの。珍しい動物を仕入れてくれば、それを喜ぶ業者もいて……。今は警察の捜査にも協力しているよ。例えば、写真を見ただけで持ちこまれたトカゲの種類を見分けられる人って他にいないんだよ。それに警察学校で動物の違法な取引について授業もさせてもらっています。税関の書類をどういうふうに偽装するかとか裏側の事情にも詳しいからね」

 今回、捜索に協力した“動機”をこう語る。

「報道が過熱して、ただでさえ潜在的に良く思われていない爬虫類のイメージがさらに悪化するのを食い止めたかった。何より爬虫類が好きだからさ」

週刊新潮 2021年6月10日号掲載

ワイド特集「鬼が出るか蛇が出るか」より

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