U-24日本はガーナ戦で安定の勝利 久保建英、堂安律、酒井宏樹の美しい躍動
東京五輪が予定通り開催されたら、U-24日本は7月22日に東京スタジアム(味の素スタジアム)でU-24南アフリカと対戦する。初戦の持つ重要性はW杯でも経験済みだ。そのため身体能力の高いアフリカ勢のシミュレーションとして、6月5日、U-24ガーナ戦が組まれた。
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しかし今回来日したチームは、サミュエル・クワシ・ファビン監督が「(優勝した)U-20アフリカ選手権に出場していた選手が多かったが、残念ながらトップの選手は今回来日できていない。いまは国内リーグで優勝をかけた試合があるため、トップの選手は来日していない」と言ったように、五輪予選を戦ったチームとはまったく別のチームだった。
それもそうだろう。五輪予選に負けた(南アに敗れアフリカ予選4位)のであれば、次の目標に向かって新チームを立ち上げるのは当然のことだ。横内昭展監督は「アフリカ勢との対戦を希望」した。それに応えて技術委員会もマッチメイクした。
しかしながら結果はミスマッチに終わった。だからと言って技術委員会を責めることはできない。世界的なコロナ禍で、海外からチームを招待すること自体が難しいからだ。
少々前置きが長くなってしまった。南ア戦を想定したシミュレーションにはならなかったが、試合には見るべきものもあった。
ガーナのスタメンの平均年齢は20・1歳と、1ランク下のカテゴリーと言っていい。このためビルドアップのパスは精度を欠き、日本は簡単に高い位置でマイボールにできた。守備もオーガナイズされていないため、ピッチのあちこちにオープンスペースがあった。そんな相手に日本が主導権を握り、ゴールを量産したのは当然と言える。
堂安の成長
そうした試合で自身のストロングポイントを遺憾なく発揮したのが久保建英であり、堂安律であり、OA枠の酒井宏樹だった。
スタート時は久保がトップ下、堂安が右MFだったが、本来は2人とも右サイドでのプレーを得意にする。このため2人は頻繁にポジションチェンジをしたが、新たな発見もあった。
久保はレフティーだが、右足も不自由なく使える。このためカットインだけでなくタテに抜け出してのシュートやクロスも持っている。25分にはクロスバー直撃の右足シュートも放った。対峙するマーカーとしては厄介な相手だ。
一方の堂安は、これまでタテに抜け出すプレーはほとんどなかった。カットインからのシュートやパスを武器にしていた。しかしガーナ戦では右サイドやトップ下でのプレーだけでなく、バイタルエリアに下がってパサー役も果たし、1点目と2点目の起点になった。ここらあたりはビーレフェルトでの成長と言っていいかもしれない。
2人が一緒に五輪チームでプレーするのは19年11月以来だが、A代表での活動が連携をスムーズにしたのだろう。
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