「お世話になりました。行ってまいります」北朝鮮工作船に乗り込む直前の若い隊員はそう言った 自衛隊初の「海上警備行動」緊迫の裏側

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 1999年3月23日午前11時。能登半島の東約46キロの海上で、海上自衛隊の哨戒機が漁船を装った不審船2隻を発見、連絡を受けた海上保安庁の巡視艇がこれを追跡――。それが自衛隊発足後、初の「海上警備行動」が発令されることとなる「能登半島沖・不審船事案」の始まりだった。護衛艦2隻が出動、哨戒機P-3Cが上空を飛行、さらに計25回の警告射撃が行われるという緊張状態が、一昼夜にわたって続いたのだった。

 その不審船は、日本人拉致のために派遣された、北朝鮮の「工作母船」であった事実が後に明らかになっている。...

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