1億円プレーヤーは2人だけ…酷使されるのに年俸が低すぎる「中継ぎ投手」を救えるか

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無理をさせるべきではない

 この中継ぎ陣の酷使は今年も当然のように続いている。5月28日終了時点で、20試合以上と、20イニング以上の両方に当てはまる、主な中継ぎ投手をピックアップしてみたところ以下のような顔ぶれとなった。

岩崎優(阪神・23試合・20回1/3)
中川皓太(巨人・24試合・23回)
清水昇(ヤクルト・23試合・22回1/3)
マクガフ(ヤクルト・22試合・22回)
今野龍太(ヤクルト・22試合・20回)
又吉克樹(中日・25試合・23回1/3)
石田健大(DeNA・23試合・26回)
山崎康晃(DeNA・25試合・24回1/3)
砂田毅樹(DeNA・24試合・20回)
泉圭輔(ソフトバンク・25試合・20回2/3)
岩嵜翔(ソフトバンク・23試合・22回)
モイネロ(ソフトバンク・20試合・20回)
唐川侑己(ロッテ。24試合・23回2/3)
平良海馬(西武・25試合・24回2/3)
ギャレット(西武・22試合・20回1/3)

 既に実績のある投手ももちろんいるが、まだまだ若手という投手も少なくない。清水、今野、泉の3人は昨年が本格的な一軍定着で、そこで結果を残したことで重宝されるようになったが、経験という意味ではまだまだ不足している。

 また、平良も既にチームを支える存在となっているが、今年で高校卒4年目ということを考えるとまだまだ無理をさせるべきではないだろう。又吉、砂田、岩嵜といった長期離脱を経験している選手たちも、故障の再発というリスクは当然考えるべきである。

過酷な役割ながら

 目の前の試合を落とさないために力のある投手を惜しみなく起用するというのは短期的な成果は生むかもしれないが、例に出した広島のように揃って選手が離脱すると一気にブルペン陣が弱体化する危険性があることは間違いない。そして、そんな過酷な役割でありながら、先発や抑えよりも低く見られているというのは、やはり大きな問題と言えるだろう。

 チームのピンチの場面でピシャリと相手打線を抑えて流れを止める中継ぎ投手というのは、本来もっと光り輝いても良いポジションではないだろうか。起用法、査定ともに改めて見直され、多くの投手が中継ぎという役割に夢と誇りを持てるようなプロ野球になっていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月6日掲載

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