商社マンをしながらウィンブルドンに挑戦した清水善造 ただ「好き」という気持ちに突き動かされ(小林信也)
スポーツの草創期、「好きだ」というときめきに衝き動かされて競技に没頭した開拓者たちに強く心を魅かれる。清水善造もそのひとりだ。
1920(大正9)年、清水はウィンブルドン(全英)選手権のチャレンジ・ラウンド決勝に進出し、ビル・チルデン(米)と対戦した。当時は、前年の優勝者と戦う選手をトーナメントでまず決める方式だった。前年チャンピオンは「オールカマーズ決勝戦」と呼ばれる1試合のために準備すればよかった。
清水は、チルデンが188センチの長身から繰り出す“キャノンボール”と異名をとるサーブに苦しみながら善戦した。...