審判に「負けたらお前のせいだぞ!」…長嶋茂雄が監督時代に激怒した「4つの大騒動」
全選手をロッカーに
それから16年後、96年5月1日の中日戦で、二度目の騒動が勃発する。
5回、バルビーノ・ガルベスの内角攻めの速球が、中日・山崎武司の頭付近を通過したことがきっかけで、両者がマウンド上で取っ組み合い、両軍ナイン入り乱れての乱闘劇へと発展した。
ガルベスと山崎は喧嘩両成敗で退場になったが、ガルベスは「何でオレが退場になったのかわからない。オレはぶつけてもいないんだぜ」と大むくれ。長嶋監督も「相手(山崎)が仕掛けたことじゃないか。好投の投手をわざと退場にできるのか」と異を唱えたが、山本文男球審は「そういう場合、(ガルベスは)向かっていかないで逃げてほしいですね」と却下。納得できない長嶋監督は、全選手をロッカーに引き揚げさせた。
その後、連盟への提訴を条件に試合再開に応じたが、乱闘と合わせて32分中断したことから、執拗な抗議と選手を引き揚げさせたことを理由に、二度目の厳重戒告となった。
いずれの騒動も、現在なら遅延行為で退場は免れないところ。今から思えば、大らかな時代だった。
「どうしたんだ、今日は」
一方、暴言であわや退場という場面が見られたのが、00年9月14日の阪神戦だ。
6対5とリードした巨人は9回の守りで2死満塁のピンチを招いたが、岡島秀樹は矢野輝弘(現阪神・矢野耀大監督)をカウント2-2と追い込み、真ん中低めにカーブを投げ込んだ。
ストライクゾーンギリギリに決まり、見逃し三振でゲームセットと思われたが、笠原昌春球審の判定は「ボール」。長嶋監督がベンチを飛び出し、激しく抗議した。
「入ってるだろ。どうしたんだ、今日は」と怒りの表情で詰め寄った長嶋監督は、いったん引き下がったものの、押し出し四球で同点となった直後、投手交代を告げるために再びベンチを出ると、笠原球審になおも怒りをぶつける。さらに、平松一宏の投球練習中にも抗議を行ったため、原辰徳ヘッドコーチが退場を心配して止めに入るほどだった。
そんな騒ぎの中で思わず口から出た言葉が「負けたらお前のせいだぞ!」。だが、笠原球審は「退場にするような暴言とは判断しなかった」と不問に付した。
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