審判に「負けたらお前のせいだぞ!」…長嶋茂雄が監督時代に激怒した「4つの大騒動」
退場歴ゼロのプロ野球監督は誰か?
こんなクイズを出したら、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳の名前を挙げる野球ファンも多いだろう。3人とも選手時代も含めて退場は一度もなく、クリーンなイメージを保ちつづけている。
とはいえ、長嶋監督の場合は、結果的に退場にならなかったものの、「あわや退場」と周囲が肝を冷やす場面も何度かあった。そんな“退場ギリギリ”のシーンを振り返ってみよう。
初の厳重戒告処分
最初の騒動が起きたのは、巨人監督6年目、1980年5月22日の広島戦である。
2対2の5回、広島は1死一塁で、4番・山本浩二が三ゴロ。中畑清から平田薫、王貞治と転送され、5-4-3の併殺でスリーアウトチェンジと思われた。
ところが、太田正男二塁塁審は、「二塁セーフ」をコール。中畑の送球が高くそれ、平田がジャンプした際に、タイミングが合わず、捕球の前にベースをまたいでしまったのが原因だった。
だが、そうとは知らない長嶋監督は「アウトではないか」と激しく詰め寄る。これに対し、太田塁審が「セカンドベースタッチはあったけど、極端に早かった」と説明したことが、事態を混乱させた。
「送球を受けたとき、ベースを踏んでいなかった」とわかりやすく説明すれば、話は通じていたはずだ。
この説明不足が誤解を呼び、押し問答が12分続いた末、長嶋監督は全選手をベンチに引き揚げさせ、放棄試合も辞さない覚悟を見せた。
結局、試合は計19分の中断を経て再開されたが、長嶋監督は「審判の判定に対して無用な抗議を続け、いたずらに試合を長引かせた」として現役時代も含めて初の厳重戒告処分を受けた。
[1/3ページ]