「調子が狂った」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 もう一回、今回もマスターズの話。松山英樹選手の優勝が決まった後、松山さんのキャディーが帽子をとってコースに一礼する映像がテレビで流れました。この姿には全米から賞賛の声が上がり、ネット上で大きく取り上げられました。ちょっとした行動に表れた日本人らしい尊敬の念。見ていた人をとても温かい気持ちにさせたようです。こんな日本文化の良さが伝わることにもなった、キャディーの早藤将太さんの礼儀正しい所作、またそれを撮ったCBSのカメラクルーに拍手。

 さて今回の表現はout of whack。out of whackは「調子が狂った」「うまく動かない」「おかしくなっている」といった意味で、漫画でエレンが言っているのは「ウィルソンさんの検査結果がおかしくて、まるで出血しているみたいで変だった」ということです。whackという単語はかなり昔から使われていたようですが、その意味は時間経過の中で変遷してきたようです。そんな中で19世紀後半に病気にかかった状態をout of whackと言うようになり、そこから物事についても使われだしたようです。

 out of whackの使い方の例は“My laptop is totally out of whack this afternoon.”「僕のノートパソコンは今日の午後中、全く機能しなかった」や、“Please disregard the alarm. The system has been out of whack for a while.”「警報は無視してください。システムがここしばらくおかしいんです」や、“Because of a major accident in midtown, bus service is all out of whack throughout the city.”「ミッドタウンの大きな事故のためにバスはシティー中で運行が乱れている」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?

“The project’s timeline has gotten a bit out of whack.”

2.out of whackを使って英語で言うと?

「またWi‒Fiの調子が悪いみたいで、これじゃ仕事にならないよ。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年6月3日号掲載

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