若手投手が次々と…ソフトバンク工藤監督、「使い捨て起用」の大問題

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自身とは真逆の選手を量産

 しかしリリーフ陣についても気になる点がある。過去6年間に40試合以上に登板した投手を並べてみた。

2015年:サファテ(65試合)、森唯斗(55試合)、五十嵐亮太(54試合)、二保旭(44試合)

2016年:サファテ(64試合)、スアレス(58試合)、森唯斗(56試合)、森福允彦(50試合)

2017年:岩嵜翔(72試合)、サファテ(66試合)、森唯斗(64試合)、嘉弥真新也(58試合)、五十嵐亮太(46試合)

2018年:加治屋蓮(72試合)、嘉弥真新也(67試合)、森唯斗(66試合)、モイネロ(49試合)、石川柊太(42試合)

2019年:甲斐野央(65試合)、モイネロ(60試合)、森唯斗(54試合)、嘉弥真新也(54試合)、松田遼馬(51試合)、高橋純平(45試合)

2020年:森唯斗(52試合)、高橋礼(52試合)、モイネロ(50試合)、嘉弥真新也(50試合)、泉圭輔(40試合)

 クリーザーはサファテから森へ、左の変則リリーフは森福から嘉弥真へと上手くバトンを繋いでいる。また、過去3年間はモイネロの成長も大きなプラスだ。しかしよく見てみると、二保、スアレス、岩嵜、加治屋、甲斐野、松田、高橋純平と、活躍が1年限りという選手が非常に多い。

 特に、甲斐野はルーキーイヤーでいきなりフル回転したことが影響して、昨シーズンは完全に棒に振っている。悪い言い方をすれば、短期的な“使い捨て”のような起用とも言えるだろう。今シーズンも泉と津森宥紀が新たな戦力としてフル回転しているが、すぐに消耗してしまわないか心配なファンも多いはずだ。

 現役時代、工藤監督は実働29年というNPB記録を持つほど長く活躍した投手だったが、現在のチームを見ていると、自身とは真逆の太く短い現役生活を送る選手を量産しているように見えてしまう。ある程度は、物量でカバーするというのは致し方ないことであるが、もう少し太い柱を多く作る必要があるのではないだろうか。先発の千賀、リリーフの森という柱に次ぐ存在を確立することができなければ、ソフトバンクの天下は意外と早く終わる可能性も高いだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月2日掲載

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