国際政治論壇レビュー(2021年5月-3) 国際政治論壇レビュー(3)
台湾をめぐる米中関係が軍事的緊張を高める結果となっている一方で、気候変動問題をめぐる主要国の協力が必要であるという認識もまた、一定程度広がっている。バイデン政権は気候変動問題も重視して、自らのイニシアティブで4月22日にはオンライでの気候変動サミットを開催した。この問題にどのように対応するかということが、気候変動問題という政策領域を越えた、重要な地政学的な動向とも連動している。
EUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表は、欧州グリーン・ディール担当のフランス・ティメルマンス欧州委員会副委員長との共著の論文で、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成する強い意志を示している[Josep Borrell/Frans Timmermans, “The Geopolitics of Climate Change(気候変動の地政学)”, Project Syndicate, April 26, 2021]。...