没後4年「田村正和さん」鉄壁のプライバシー 「人前で食事をしない」「トイレ中は誰も近づかせない」…元マネージャーが明かす
俳優の田村正和氏が死去したのは、2021年4月3日。それから4年を迎えた。昨年も代表作『古畑任三郎』が一挙30作放送され、好評を博したばかり。未だ人気は衰えない。
その田村氏は生前、俳優に徹し、自らのプライベートを決して公にしなかったことで知られている。その死が報じられたのも亡くなった後、ひと月以上も経ってからのことであった。「週刊新潮」では、田村氏の死が報じられた直後、元マネージャーなど当時の関係者に取材し、田村氏の知られざる姿について明らかにしている。以下、それを再録し、名優の実像に改めて触れてみよう。
(「週刊新潮」2021年6月3日号記事の再録です。文中の年齢、役職、年代等の表記は当時のものです)
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田村氏の自宅は、東京・世田谷区成城の高級住宅街にある。最後のテレビ出演は死の3年前。以来、表に出ることはなかったが、近所の住民はその姿をしばしば目撃していた。
「田村さんはいつも朝5時頃に近くを散歩していましたよ。夏はTシャツに短パンのこともあったけど、冬だと黒のトレンチコートにつばの付いたハット。粋な恰好でした」
「すれ違うといつも挨拶をしてくれる。遠くから見てもすぐわかるんです。何ていうか、オーラが出ているから」(別の住民)
ところが、2020年末以降、大きな変化が見られたという。
「5時からだった散歩が、10時とか11時とかになったんです。しかも、奥さんが常に同伴している。身体がだいぶ弱ってきていたんでしょうね。昔から心臓が悪いといって、寒い時期になるとハワイに“避難”することもあったから。ここ2カ月ほどは姿を見なくて心配していたんですが……」(また別の住民)
5月18日になって、4月に心不全で死去していたことが公表されたのだ。
体力が全然ない
田村氏の父はバンツマこと、俳優の阪東妻三郎。兄や弟も役者の俳優一家だ。テレビ時代劇「眠狂四郎」が出世作となり、田村氏も父同様、一貫して「二枚目」路線を歩む。それだけに生活感が見えることを嫌がり、人前で食事をしなかった……などの「伝説」が知られているが、
「本当にその通りでした」
とは、かれこれ30年程前、ドラマで田村氏と共演した俳優である。
「ビックリしたのはトイレ。撮影所でトイレに行ったら、田村さんの付き人が入り口前に立っていてね、“いま田村が使用中ですので”って言われて入れてもらえなかった。役者仲間にさえも無防備な姿を見せたくなかったんだろうね。食事もそうで、食堂でも、皆でロケ弁を食べている時でもあの人だけは食べない。体型維持の意味もあったのか、缶のスープに半分くらい口を付けて終わり。体力が全然なく、100メートルの坂を下るシーンを撮っても途中で息を切らしていましたよ」
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