「ウマ娘」大ヒットで20代の競馬ファン増加中 “ハルウララ”ファーム見学は予約でいっぱいに
競馬ファンの怒りを買う騒動も
一方で「個人的な見解だけれど、ゲームファンで本当の競馬ファンとはちょっと違う気もしている」と語るのはゲームに登場するニシノフラワー、セイウンスカイのオーナーだった西山正行さんの子息・茂行さんだ。
茂行さんはTwitterやブログで「ウマ娘」について発言しており、ゲームファンにも知られた存在だ。かつての所有馬が人気となっていることについては次のように語る。
「ニシノフラワーは28年前に走っていた馬で今はもう死んじゃっている。セイウンスカイだって現役は20年以上前。その頃の競馬を全く見てもいないような若い世代の人たちがセイウンスカイを語ってくれている、ニシノフラワーの名前を使ってくれている。それだけで、こちらとしてはもう十分」
競馬ファンの増加についても、ゲームのモデルとなった過去の名馬に頼るのではなく「これからそういう馬を作っていかなければいけない」と話す。
急激に増える「ウマ娘」経由の競馬ファンだが、トラブルも発生している。
京都競馬場にライスシャワーの慰霊碑に、ゲーム内のキャラが頭につけている青い薔薇を献花されていたことがSNSで拡散し一部競馬ファンの怒りを買う騒動もあった。
引退馬協会の沼田さんによれば、ゲームに登場する引退馬に会いたいがために突然、牧場を訪問するファンが増えているといい「牧場は少人数でやっています。コロナの中で訪問する人が増えていますが、もし牧場のスタッフがコロナにかかったら、馬をお世話にする人がいなくなってしまう」と注意をうながす。
「ウマ娘」きっかけの新規ファンによるトラブルが今後も発生することが予想される。長らくの競馬ファンからの心配の声もSNS上では上がっている。
競馬の周辺を見渡せば、競馬情報誌「サラブレ」が5月13日発売の6月号をもって休刊(スマホ版は継続)。コロナに伴う競馬需要の陰りもあり、「東京スポーツ」では100人規模のリストラが報じられるなど暗いニュースも多い。そんな中で「ウマ娘」は希望の光といえる。
ゲームにカレンチャンが新たにゲームに登場すると発表された際には、調教助手時代に同馬を担当した安田翔伍調教師がTwitterで「話題のウマ娘に"オレの女"が登場してるようですね!」と反応。5月16日開催のGI「ヴィクトリアマイル」では、ラジオNIKKEIの小林雅巳アナウンサーがスタート前に「今日の18頭も強いウマ娘です」と実況と、競馬関係者からの「ウマ娘」に関する発言も日増しに増えている。
こうなると期待したいのが本丸であるJRAと「ウマ娘」のコラボだが、JRA広報に確認したところ、残念ながら「現在のところ、コラボについては予定していない」との回答だった。
ただJRAといえば、これまで「進撃の巨人」「新世紀エヴァンゲリオン」「Fate Grand Order」など数々のアニメ、ゲームとコラボした実績があるだけに、「ウマ娘」とのコラボは“大穴”とはならないだろう。
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