面従腹背の文在寅 ソウルに戻ると即、金正恩に“詫び状” 米国でも始まった「嫌韓」

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試合に負けたら場外乱闘

 保守系紙、朝鮮日報は“文在寅の変節”を非難しました。社説「合同演習を今年もしないのなら、韓米首脳会談は『南北イベント』用だったのか」(5月28日、韓国語版)でこう書きました。

・米国は「訓練なしの軍隊」など想像もできない国だ。ワクチン供給を渋っていたバイデンが韓国軍への接種用は与えると約束した意味もそこにある。
・文大統領の関心は金正恩(キム・ジョンウン)との南北イベントの再開にしかない。このため米国の要求をまる飲みする代わりに、金正恩と謳ったシンガポールと板門店での宣言を韓米共同声明に入れて貰ったとの観測もある。
・文大統領が韓米演習をしないとの意思を表明したのは結局、韓米同盟の復元や強化が彼の本当の目的ではないという事実を示している。

 文在寅政権は米韓同盟を弱体化してきました。親米保守とすれば「演習中止」で同盟にトドメを刺されたらたまったものではない。一方、反米左派にとっては、米国が韓国に不信感を持とうが「演習中止」は必須なのです。

 米韓首脳会談で文在寅政権は徹底的にねじ伏せられた。共同声明には「台湾」と「北の人権」を入れられ、中朝との間にクサビを打ちこまれた(「文在寅が“大敗北”の米韓首脳会談 ワクチン対象は軍人だけ、声明には『台湾』『北の人権』」参照)。

 文在寅政権には、つむじを曲げる北朝鮮に「詫び状」を送る必要があったのです。試合で負けたプロレスラーが場外乱闘を始めたようなものです。

選挙戦前に「思いきった行動」

――米韓合同演習を拒否するのは北への「詫び状」……。

鈴置:そもそも韓国は北朝鮮から「米韓合同演習は止めよ」と脅されているのです。そこに北の人権に言及した共同声明。北朝鮮が激怒したのは確実です。怒らせれば対話に応じてもらえません。

「米韓合同演習を止めれば、せめて実戦形式を避ければ、金正恩委員長は許してくれるかもしれない」との切ない思いでしょう。

 文在寅大統領発言の前日の5月25日、大統領の本音を代弁するとされる文正仁(ムン・ジョンイン)世宗研究所理事長がシンポジウムの席上、以下のように述べました。

 中央日報の「文正仁『北朝鮮、米国との接触に応じるだろう…文在寅、9月以前に思いきった行動をとるかも』」(5月25日、韓国語版)から訳します。

・韓米共同声明では米国が北朝鮮に何を提供するのか具体的な内容が明かされていないので、北は韓米首脳会談でどんな対話が交わされたのか、大いに聞きたいであろう。
・初めのリトマス試験は北朝鮮が対話要請に応じるかであり、また、韓米が(8月に予定される)合同演習を実行するかで、見極めることが可能だ。合同演習をすれば対話が中断しうる。
・北朝鮮が対話に出る場合、文在寅政権は北との協力事業を開始できる。
・9-10月に大統領選挙戦が始まる。その時が来れば(南北関係改善への努力への)勢いが失われる可能性もあるため、それ以前に(文在寅政権が)思いきった行動に出るかもしれない。
・(文大統領の任期が11か月程度しか残っていない半面、バイデン大統領は4年近い任期を残すという「政治の周期の不調和」に言及しつつ)とても難しいが、それでも何もしないよりはいい。

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