朗希世代のトップは オリ「宮城大弥」、“外れ外れ1位”がリーグ屈指の左腕になるまで

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リーグを代表する左腕と言っても

 短期間での急激な体重とスピードアップによってコントロールを乱す投手も少なくないが、宮城に関してはそのような弊害が全く感じられないのも大きな強みである。宮城の身長は現在の公式プロフィールでは171cmとなっているが、高校1年時の甲子園の大会誌では173cmという数字が残っている。本当に縮んだかは分からないが、早い時点で身長の伸びが止まっていたことは確かだろう。

 一般的にピッチャーは身長が高い方が有利であるが、その一方で、骨が伸び切らないうちに高い負荷をかけたトレーニングを行うことは故障にも繋がりやすいとされる。そういう意味では、宮城は早熟であることを上手く生かして、体作りを先行できたことがプロでの活躍に繋がったとも言えるだろう。

 今シーズンのここまでの宮城のピッチングを振り返ってみても、12球団の左投手の中で1、2を争う安定感であり、既にリーグを代表する左腕と言っても過言ではない。その急成長ぶりには改めて驚かされるばかりだ。今後も成長を続けて、同世代の佐々木、奥川恭伸(ヤクルト)らとともに次世代のプロ野球を牽引する1人となってくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年5月25日掲載

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