朗希世代のトップは オリ「宮城大弥」、“外れ外れ1位”がリーグ屈指の左腕になるまで

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凄みのあるタイプではなかった

 5月16日、「令和の怪物」の異名をとる佐々木朗希(ロッテ)が待望の一軍デビューを果たしたが、そんな佐々木の同世代でトップを走る存在となっているのが宮城大弥(オリックス)だ。

 2019年のドラフト会議では石川昂弥(中日)、河野竜生(日本ハム)を抽選で外した後のいわゆる“外れ外れ”での1位指名だった。だが、1年目からウェスタンリーグで最多勝を獲得すると、シーズン終盤の10月には早くも一軍で初勝利をマーク。今シーズンは開幕ローテーション入りを果たし、急性胃腸炎で離脱した時期はあったものの、5月23日終了時点で4勝0敗、防御率2.05とチームに欠かせない存在となっている。高校卒2年目の投手がなぜここまでの活躍を見せることができているのか、高校時代のプレーぶりから探ってみたい。

 宮城は沖縄県宜野湾市の出身。中学時代は硬式野球のクラブチーム、宜野湾ポニーズでプレーしており、16年に行われたU15ベースボールワールドカップの侍ジャパンにも選ばれている。

 ある意味エリートと言われる経歴だが、この年代の日本代表に選ばれる選手は完成度こそ高いものの、早熟傾向が強く、高校進学後に期待されたほど、成長できないケースも少なくない。

 ちなみに、この年のU15侍ジャパンに選ばれたメンバー20人の中で、宮城以外に高校からプロ入りしたのは及川雅貴(阪神3位)と中田唯斗(オリックス育成3位)の2人だけである。

 宮城は興南高に進学後、その完成度を生かして、1年夏には早くも甲子園に出場。初戦の智弁和歌山戦では先発も任されている。宮城のピッチングを実際に見たのは、この試合が初めてだったが、1年生にしてはよくまとまっていたとはいえ、凄みのあるタイプではなかった。

 この時のストレートは最速138キロで、アベレージは135キロ程度。試合は興南が3回に一挙6点を先制するも、宮城は林晃汰(現広島)にツーランを浴びるなど5回途中4失点で降板し、チームは逆転負けを喫している。

変わったのはフィジカル面

 宮城は翌年夏にも甲子園に出場。1回戦の土浦日大戦では5番、レフトで先発して2本のツーベースを放ち、8回途中からはリリーフとして登板。2回を投げて1失点4奪三振の好投でチームの勝利に貢献している。短いイニングの登板ということもあって、ストレートの最速は、前年を上回る143キロをマークしていたが、全体的な印象は前年とは大きく変わらず、この時点では、まさか1年後にドラフト1位で指名されるとは全く思っていなかった。

 そんな宮城のイメージが大きく変わったのが3年春に鹿児島で行われた九州大会だ。初戦の神村学園戦に4番、ピッチャーで出場した宮城は立ち上がりから相手打線を圧倒。最速148キロをマークしたストレートは、前年夏までとは別人のような勢いがあり、カーブ、スライダー、チェンジアップなどの変化球を完璧に操るピッチングはまさに「超高校級」と呼べるものだった。

 結局、この大会は決勝で敗れて準優勝に終わったが、宮城は4試合26回を投げて43奪三振という圧巻の成績を残している。夏の沖縄大会では決勝で敗れて3年連続の甲子園出場は逃したが、この春の快投で宮城の高評価は定まったと言えるだろう。

 最終学年で宮城が大きく変わったのはフィジカル面である。2年夏の甲子園出場時点では70kgだった体重が3年春には78kgまで増量。上半身、下半身の筋肉量は目に見えてもアップしており、そのことが投げるボールのスケールアップに繋がったことは間違いない。

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