国内最高の「純利益5兆円」でもソフトバンクGは全然安泰じゃない理由
「金の卵」はAI産業
SBGが今後、「金の卵」(孫氏)として投資するのは、新型コロナウイルス感染拡大の後をにらんだ人工知能(AI)産業だ。SVF2号などではAIを活用した融資判断や動画編集、流通サポートなど幅広い事業に投資を始めた。もっとも、今後、インフレ懸念などが強まれば、成長が続いてきたIT産業でも株価は伸び悩む可能性がある。株価が下落すれば、20年3月期のように、積み上がったSBGの含み益が吹き飛ぶこともあるだろう。
決算説明会の冒頭、「ほんの1年前には史上最大規模の赤字ということもありましたし、これから先も、株式相場の上がり下がりで、上がったり下がったりする。SBGにとっては1兆、2兆の赤字はニューノーマルだと、あまり驚かない方がいい」(孫氏)とうそぶいたが、
「株主にとってはたまったものではありません」(大手証券幹部)
20年6月に開催されたSBGの定時株主総会では、株主から「孫氏の突っ走りに『ちょっと待った』をかけられる人が(取締役会に)いるのか」といった懸念の声も飛び出した。孫氏が良い意味でも悪い意味でもSBGの全権を事実上掌握しているのは間違いない。これからも、これまでの40年間と同様に、ソフトバンクの成功も失敗も孫氏の双肩にかかっている状況が続くとみられる。
現在63歳の孫氏、これまでのところ、70歳になっても体調に問題がなければ「経営を続けたい」との意気込みを示している。しかし、
「SBGが中心となる事業を変え、投資で成功してきたのは孫さんの『先読みの力』に頼ってきた面が大きい。ポスト孫さんがSBGの中に見当たらないことは、投資会社としては懸念材料でしかありません」(金融機関幹部)
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