失踪から60年、ラオスに消えた陸軍参謀「辻政信」は池田勇人首相の「密使」だった
ノモンハン事件やマレー上陸作戦などを指揮し、「作戦の神様」と称された陸軍参謀の辻政信。戦後は潜伏生活を経て国会議員に転じたが、1961年、視察先のラオスで消息を絶つ。以来60年、作家の早瀬利之氏が初めて明かされる「日記」をもとに、その謎に迫った。
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東京・世田谷区松原にある辻の自宅に、白いトランクが届けられたのは消息を絶ったひと月後の1961年5月下旬だった。送り主は外務省。戦後も国会議員として海外出張が多く、1年の3分の1を渡航先で過ごしていた彼の愛用トランクは半畳ほどの大きさで、ベージュの牛革で角が縁どられ、所々擦り切れていた。...