「東京スカイツリー」が10年目に突入 2つの新たな“仕掛け”で集客力に期待

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浅草―ツリー間を歩かせる仕掛け

 奮闘するツリーのお膝元。ツリーは休業中でも、その下の商業施設「東京ソラマチ」は営業を続けている。

「平日はやはり閑散としていますが、この日曜日(※16日)に訪れた時には、ソラマチに人出はありました。遠出しにくい分、“マイクロツーリズム”の需要があるのでしょう。『元祖食品サンプル屋』などが出店する外国人観光客をターゲットにした『ジャパンスーベニア』エリアは一部の店を閉めていますが、それ以外は時短営業で店を開けています。タワー、そして隣接の『すみだ水族館』も休業している割には、頑張っている印象です」

 と証言するのは、流通アナリストの渡辺広明氏だ。渡辺氏はチケット抽選に当たり、12年5月22日の開業から6日後にツリーに上ったことがあるそうだ。当時から、ツリーそのものよりこちらの「ソラマチ」が、事業の成功を左右すると考えていたという。

「東武鉄道は、タワーやソラマチを含む『東京スカイツリータウン』の集客目標を年間3200万人に設定していました。しかし、12年当時の東京ディズニーリゾートの年間来場者数が2500~2700万人でしたから、なかなかハードルが高いと感じていました。当初、タワーの入場料金は高く、小学生の子供を2人つれて一家4人で展望回廊まで上るとなると、ゆうに1万円は超えたのです。19年に値下げされたものの、今でも8800円します(※休日料金、前売り券)。となると、タワーのリピートは見込みにくく、ソラマチでいかに集客できるかが3200万人クリアの鍵だったわけです。初めは集客できても、“開業バブル”が弾けた3~4年後には難しいのではと思っていました」

 ネックのひとつには、アクセスの悪さがあった。

「東武鉄道の『とうきょうスカイツリー駅』から直結しているものの、実際のメイン駅は『押上駅』です。首都圏の在住者にヒアリングすると“押上駅が都心から離れいて不便”“押上からツリータウンまでも距離がある”というのが再訪の妨げになっていた。そうした客に“わざわざ”来てもらうならば、近くの浅草との連携が不可決だったわけです」(同・渡辺氏)

 もっとも結果的にいえば、15年から大きく伸長した訪日外国人消費も手伝って、19年度まで“年間3200万人”は達成できた。さらにアクセスの問題も、こんな形で解消されつつある。

「昨年6月に、隅田川を渡る歩道橋『すみだリバーウォーク』と、東武鉄道の高架下施設『東京ミズマチ』がオープンしました。『リバーウォーク』は浅草とスカイツリーを最短で結ぶ橋で、周辺散策が便利に。『ミズマチ』はお洒落なカフェやスイーツショップなどがテナントに入っており、浅草とツリーの間にも楽しみが生まれました。どちらも浅草―ツリー間の1・5キロメートルを歩かせる良い“仕掛け”だと思います。時期が時期だけに大々的にPRしにくく、まだそれほど利用者はいませんでしたが、コロナ禍が明ければ“新しくできたし行ってみよう”とツリー再訪を促すきっかけになると思います」(同・渡辺氏)

デイリー新潮取材班

2021年5月22日掲載

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