猪瀬直樹・元東京都知事に訊く 「東京2020大会」開催の是非、小池知事はどうする?
世論は“水物”
テレ朝newsは5月17日、「『東京五輪の延期・中止』8割以上に ANN世論調査」との記事を配信した。
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テレビ朝日と系列局が15、16両日に世論調査を実施すると、「さらに延期した方が良い」「中止した方が良い」と答えた人が合わせて82%に達したという。
同じ日に行った共同通信の世論調査でも、「中止するべきだ」は59.7%に達した。加藤勝信官房長官(65)は17日の記者会見で「安全、安心な形で開くことを国民にお分かりいただけるよう、努力する必要がある」との見解を示した。
東京五輪の開催に強い逆風が吹いている。中止を求める声は増えることこそあれ、減っている印象は全くない。
作家で、元東京都知事の猪瀬直樹氏(74)は、五輪の招致活動で主導的な役割を果たした。その猪瀬氏が時事通信のインタビューに応じ、五輪を予定通り開催すべきと主張して話題を呼んでいる。
記事は4月15日に配信された「五輪『テレビで興奮共有を』 ワクチン確保で政府批判―猪瀬元都知事インタビュー」。文中で猪瀬氏は「五輪は生きる活力につながる祝祭空間」と開催の意義を訴えた。
改めて猪瀬氏に取材を依頼すると、「東京五輪には明確な“思想”があるからこそ、招致に成功した。このことを再度、確認すべきでしょう」と言う。
健康問題と五輪
「1つ目の思想が、気候変動問題です。東京五輪は『世界一、環境に配慮した大会』の実現を目指します。例えば、東京湾の中央防波堤内側埋立地では、廃棄物の埋め立て処分が行われていました。ここに『海の森公園』が整備され、明治神宮に匹敵する約100ヘクタールの森が生まれているのです」(猪瀬氏)
都知事だった石原慎太郎氏(88)が主導した。沖合の風が海の森公園を抜け、高層ビルが林立する都心に吹くことで、ヒートアイランド現象の緩和を図ったのだ。
「この海の森公園には、東京五輪のボート会場が設営されます。石原さんはディーゼル車の排ガス規制を強行、東京五輪を見据えて公園整備を行い、東京におけるヒートアイランド現象の対策も行いました。まさに東京五輪が環境に配慮した大会であることを象徴する会場なのです」(同・猪瀬氏)
2つ目の思想は、健康問題だ。日本は世界でトップクラスの高齢国だが、“健康寿命”との乖離が著しい。
「厚労省の調査によると、例えば2016年に女性の平均寿命は87・1歳でした。ところが、健康寿命は74・7歳だったのです。引き算すると12・4歳になります。つまり『健康上問題があり、日常生活に制限のある状態』が、晩年に10年以上も続いているのです」(同・猪瀬氏)
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