北川景子、永山瑛太のドラマ「リコカツ」が好評である3つの理由

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 出会って3か月でスピード婚。お泊まりしたこともなければ、セックスもしていない。でも早々に新居のマンションも購入。イマドキの結婚はそんなもんなの? 金銭感覚や人生哲学、体の相性や生活信条……共通点や相違点を確かめつつ、じわじわ煮詰めてから結婚に至るのが普通だと思っていた。もうそれは古い考え方なの? 余計なことはすっとばして「とりあえず結婚」がスタンダードなの? 初回、脳内にあらゆる疑問の嵐が吹き荒れたのが「リコカツ」(TBS、金曜22時~)だ。

 このドラマのテーマは離婚である。離婚を前提に始まる物語なので、大量の疑問があってしかり。夫婦の価値観の違いが多ければ多いほど、「そりゃそうだわな」と思わされる。離婚への説得力が増して、引き込まれていくわけだ。

 まず、設定自体があからさまに「別れる理由」に満ちている。航空自衛隊に所属する紘一(永山瑛太)と、出版社でファッション誌の編集部に勤める咲(北川景子)。これくらい別世界の住人でなければ、価値観の違いが出てこない。でもそれにしたって、瑛太のキャラは盛りすぎでは? と思った。

 早朝に起床し、家訓を大声で読み上げる。もちろん妻にも唱和を求める。妻に朝食を作れと要求し、自分はランニングとトレーニングに出かける。インスタントや出来合いのモノには顔をしかめる。食べるのが異様に速い。皿の洗い残しにうるさい。ロッキーばりに生卵を飲む。卵焼きは甘い派。

自衛官、編集者の描かれ方

 父親(酒匂芳)も自衛官で、家では家事を一切やらない男。

 紘一はといえば、日常会話で「お国のために」の文言が出てくる。13時を「ヒトサンマルマル」と言う。「男は女を守る生き物だ」という信念の持ち主。Tシャツの裾はジーンズに必ずイン。妻に買った初めてのプレゼントはネーム入りのライトつき超絶ダサボールペン。酔っぱらうと豚鼻になり、サウナでは乳首を隠す童貞……(ここまでくると面倒臭さやウザさを通り越して、愛おしくなってきた感もあるな)。

 ただし、元陸上自衛隊の人に話を聞いたら、あながちこの設定も嘘とは言い切れないという。「家訓唱和まではわからないが、そういう感じの人は間違いなく、いる」とのこと。「お国のために」はみんながそう思っているし、上官になればなるほど意識は強い。トレーニング大好きな人もミリタリーオタクも多い。はるか遠くを飛ぶヘリの音を聞いただけで「あれはCH-47J」と言い当てたり、休日でも1日中サバゲーをやる人もいるそうで。ごめん、瑛太。前言撤回。

 一方、北川景子サイド。ファッション誌の編集者だったがいろいろと悶着もあって、異動した先が文芸部。文芸部の描かれようはちょっとひどすぎるが、白洲迅演じる傲慢でわがままなドル箱作家はリアルにいると聞く。LINE攻撃にセクハラ・パワハラのオンパレード。呼び出しに応じなければ執筆をやめるとちらつかせる文芸ヤクザ。

 ただし、白洲迅のようなイケメン作家は皆無で、たいていが「人としてどうか」という輩。北川のように、休日返上で急な呼び出しに駆け付けたり、超絶長電話に付き合わされたりして、私生活を侵食されるケースはままある。前途有望の優秀な若い編集者が心折れたという話もよくある。そういえば、舞台となっている出版社の名は「泉潮社」……。

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