TVの電磁波は危険、子どもの解熱に“熱キャベツ”……「吉川ひなの」健康法を医師が解説

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(2)パラサイト(寄生虫)クレンズ

 エッセイの中で、最も簡単な解毒方法として紹介されているのが腸を綺麗にすること。吉川はオーガニックのキャスターオイル(ヒマシ油)をスプーン2杯飲む習慣を続けているという。しかし気になるのは、キャスターオイルを飲むと〈腸壁にこびりついて取れない汚れを剥がしてくれているのかな? とわたしは勝手に思っています〉という記述だ。

「確かにヒマシ油は古くから下剤として使われており、排便を促す効果があります。あくまで便秘解消の目的で飲むなら結構ですが、“腸壁にこびりついた汚れを取る”ことは出来ません。というのも、腸をいくら大腸カメラで調べたとしても、特別な方法でないと落ちないようなこびりついた汚れというのは見つからないんですよ。よく言われる宿便や腸にこびりついた汚れというのは、全く根拠がありません」(同)

 さらに、〈信じられないような話だけど、現代においてもわたしたちの体の中に寄生虫(パラサイト)が寄生していることがあるらしい〉と驚くべき話が始まる。パラサイトとは具体的にどんなものなのかは明かされていないが、吉川はこれを退治するために、家族と共に定期的にパラサイトクレンズなる方法を試しているらしい。その方法は、ティンクチャーと呼ばれる液状のハーブの製剤を水に垂らして飲むというもの。ハーブの効果によって体内のパラサイトを死滅させられるという。

〈わたしはパラサイトクレンズをしてもそのあとに細かくチェックもしていないし、自分から虫が出てきたところを見たことがないので実際はどうか分かりませんが、寄生されていると寄生虫の一番の餌である砂糖や小麦粉を妙に食べたくなったり、感情的になったりとマインドまで乗っ取られるころがあると聞き、身に覚えがあるので(笑)これからも定期的にパラサイトクレンズは続けていこうと思っています〉とその効果を綴っている。

「人の行動まで操ってしまう恐ろしい寄生虫が、一体どんな種類のものかは分かりませんが、寄生虫を殺すようなハーブを人が飲んで果たして安全なのか心配ですね。体に悪いものを取り入れないように食生活を気にするのは結構ですが、寄生虫を退治するためといって、わざわざ何かを体に取り入れるのは危ないですから避けた方がいいのではないでしょうか」(同)

 他に愛飲しているものとして、〈レッドクローバーティーはエストロゲンを豊富に含むとてもエネルギーの強いお茶で、がん予防にもなるそうです〉と書くが、厚生労働省は、〈人を対象とした研究では、レッドクローバーは、いかなる健康状態に対しても明確な有益性(ベネフィット)は示されていません。〉(『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』のHPより)と明言している。

(3)熱が出たらキャベツ

 吉川は、母として家族の体調を把握し、出来るだけ自然療法で対処したいと考えているようだ。エッセイの中で紹介されているいくつか自然療法について、秋津医師はこう言う。

「『風邪の時に梅エキスを飲むこと』、『こんにゃくシップで温めて腹痛を治すこと』、『痒みがある時は大根の切り口で擦ること』は、ある程度理にかなっていると思います。ただし、熱を下げるために、頭にキャベツを被せるのは、何の効果もないです。これは、昔からあるおばあちゃんの知恵袋のようなものですね」

 エッセイの中で綴られているのは、何も怪しい健康法ばかりではないし、必要があれば西洋医学の医療機関を受診するとも繰り返し書かれている。現在の吉川はストレスフルな東京の生活を離れ、ハワイで家族と共に落ち着いた生活を送ることが出来ているというのだから、何よりだ。

「オーガニックにこだわるとか、自然の中で暮らすというのは何も悪いことではありません。ただ色々な健康法を探すうちに、ちょっと行き過ぎて宗教っぽくなっているところが心配ではありますね。これはだめ、あれもだめと決めるとしんどくなるでしょうから、おおらかに過ごすことがいいのではないでしょうか」(同)

デイリー新潮取材班

2021年5月19日掲載

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