TBS「クレイジージャーニー」が異例の復活 歓迎と“ヤラセ”に対する懸念が相半ば
松ちゃんの愛着
「テレビではヤラセで打ち切りになったことをギャグにしていましたが、松本さんも愛着のある番組だったのでしょう」
9月26日には、TBSの佐々木卓社長が定例会見で以下のように謝罪した。
「事実を前提とした番組であり、視聴者との約束を逸脱したアンフェアな手法があった。あってはならないこと。深くお詫びしたい」
10月に入ると再び、松ちゃんがTwitterを更新した。
《ひとつ お願いがあります。/全てのクレイジージャーニーがヤラセだったと誤解しないで下さい。あの番組ではマジの素晴らしいクレイジージャーニー達とたくさん出会えました。/そして設楽や小池とまた一緒に仕事したいです。/願いがふたつになってしまいました。》(10月21日付)
「松本さんがそこまで擁護するのは珍しいと思いましたが、確かに正真正銘、ヤラセナシの回が多かったのでしょう。もちろん、視聴者を裏切る、騙すヤラセは、行きすぎた演出であってはなりません。しかし、テレビマンの中で、演出とヤラセの境界線はグレーなんです。ですから、『クレイジージャーニー』終了のニュースを知った時、番組を終わらせるほどのヤラセなのか、終わらせるのはもったいない、いい番組だから続けてほしい、という声もあったんです。さらに、こんな古典的なヤラセする? 松ちゃんの番組でそんなつまらないヤラセなんてするの? という声もあったほどです」
とはいえ、翌20年8月、BPO(放送倫理・番組向上機構)は「クレイジージャーニー」に放送倫理違反があった、と結論づけたのである。
「松本さんがMCにいるのでバラエティ番組として見られがちですが、企画としてはドキュメンタリーですからね。そこでヤラセは許されないということでしょう」
それが復活するというわけだ。TBSは番組公式HPで以下のように復活の理由を明かしている。
《レギュラー放送終了後、視聴者の皆様から番組再開を希望する声や番組および出演者へのエールを多数いただきました。番組としては、制作体制や情報共有の在り方など番組に内在した問題点を洗い出し、抜本的な見直しと議論を重ねました。その結果、制作過程の適正化及び再発防止に一定の道筋がついたと判断し、今回、特別番組の形で放送することを決定いたしました。》
「ヤラセ問題で打ち切られ、復活した番組など記憶にありません。本当に復活なんてできるの? という驚きのほうが大きいです」
もっとも「クレイジージャーニー」の復活は歓迎という気持ちも。
「番組そのものは面白かったですからね。ただ、ちょっと心配なのは、ヤラセが発覚して番組が終わっても復活できる、という意識が業界に生まれやしないか。ヤラセという問題意識のハードルが低くなりやしないだろうか。そうでなくとも最近は、ヤラセを重く受け止めない風潮になってきていると思います。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)や『クローズアップ現代』(NHK総合)もかつてヤラセを指摘され、BPOからも放送倫理違反と結論づけられましたが、番組は終了しませんでした」
かつては検証番組などが放送されたこともあったが、
「贖罪感、重罪感がありましたからね。これ以上、ヤラセに対する緩みが出ないといいのですが。今回の『クレイジージャーニー』では、“再発防止に一定の道筋がついた”と言い切っていますが、もう少し説明をしたほうがいいですよね」
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