大坂なおみ“ラケット破壊”の波紋 元プロが明かす「批判されても叩き続ける理由」

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罰金33万円

 大坂との決勝戦でも、審判に暴言を吐くなどして合計1万7000ドル(約189万円)の罰金を科された。その中には「ラケットの破損」も含まれていた。

「テニスでは自分がサーブをする『サービスゲーム』は勝つ必要があり、落とすと苦しい展開になります。セリーナは第2セットの第5ゲームがサービスゲームだったのですが、大坂がゲームを取りました。するとセリーナはラケットをコートに叩きつけて折ってしまいました。ちなみにラケットを壊した罰金は3000ドル(約33万円)でした」(同・記者)

 プロテニス界は選手がラケットを壊すことを問題視している。罰則や罰金をルール化し、防止に努めてきた。

 運営側だけでなくファンの目も厳しくなっていることは、大坂に批判的なツイートが多いことでお分かりいただけるはずだ。

 だが、コートで怒りを爆発させる選手は相変わらず減らない。一体、なぜなのか、元プロテニス選手の神和住純・法政大教授に訊いた。

壊す理由

 神和住氏は「どんなプロ選手でも、テニスを始めた時は『ラケットを大事にしなさい』と教わったはずです」と言う。

「子供の時、ラケットを宝物のように抱きしめて寝たことのある選手も多いでしょう。とはいえ、人目のない練習中ならラケットを壊したプロ選手はたくさんいるに違いありません。『人生で1度もラケットを壊したことのない選手はいない』と断言してもいいくらいです」

 プロ選手がラケットを壊すのは、極めてシンプルな理由だ。「スッキリするからです」と神和住氏は指摘する。

「ラケットを壊せば厳しく批判されることを、選手は分かっています。スポンサーだって今も昔も、ラケットを壊した選手に抗議します。審判が命じる罰金は安くとも、スポンサーは多額の罰金を契約書に明記するケースも珍しくありません。それでも選手がラケットを壊すのは、試合の悪い流れを断ち切りたいからです」

 選手はラケットを壊す「デメリット」と「メリット」を天秤にかけ、メリットが多いと瞬時に判断すればラケットを壊し、「スッキリ」するのだ。

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