「三浦春馬さん他殺説」アミューズがついに法的措置 陰謀論を信じる人の心理状態は
脳内麻薬
M資金詐欺に騙される人も後を絶たない。戦後、占領軍が日本で差し押さえた財産などを原資に、極秘に運用されているという秘密資金と言われる。もちろん全くのデタラメだ。
「陰謀論を展開する新興宗教の信者やM資金詐欺の被害者は、他人に騙されて信じました。ところが、心霊写真や陰謀論を信じる人は、誰の力も借りず、自分が積極的に荒唐無稽な内容を信じたわけです。主体性が強いですから、それだけ傾倒する度合いも強いと考えられます」(同・井上氏)
ネットの発達も無視できない。昔なら知人に陰謀論を吹き込まれたり、怪しげな雑誌で記事を目にしたりしても、翌日には雑事に忙殺され忘れてしまうことも少なくなかった。
だが、今ではスマートフォンやパソコンでネットにアクセスすれば24時間365日、どこでも陰謀論に触れることが可能だ。シャワーのように陰謀論を浴び続け、あっという間に信者と化してしまう。
「陰謀論は決してなくなりません。なぜなら、今も昔も論の根幹は、この世界に大半の人が知らない黒幕が存在し、世界を操っているというものです。非常にシンプルですから、大統領選から三浦さんの死まで、あらゆる事象を解説することができます。一度信じてしまうと、自分が選ばれた者として世界の秘密を教えてもらったような気持ちになるはずです。恐らく頭の中ではドーパミンなどの脳内麻薬が放出され、快感を得ているでしょう」(同・井上氏)
ネットとの親和性
先に見たとおり、陰謀論は「この世界に黒幕がいて、世界を操っている」というシンプルな構造だ。
複雑な論理展開などなく、難解な専門用語も使われない。三浦さんに関する陰謀論の一部をご紹介したが、「CIA」とか「ディープステート」という単語が共通していたことに気づかれただろう。
そのため、荒唐無稽な主張を繰り広げるサイトを、検索エンジンで見つけやすいという傾向も存在する。例えば「ディープステート」という単語で検索してみると、陰謀論を展開するサイトがずらりと表示される。
「サイトが見つけやすいということは、信者によるコミュニティ形成も容易になるということです。信者がクラスターを構成すれば、カルト的な団体に発展する可能性は高まります。心霊写真を信じない大多数の人は陰謀論も信じませんが、少数の信者はネットで強く結びつき、陰謀論だけを信じるようになります」(同・井上氏)
SNSが代表例だが、ネットは小さなグループを作ることが得意だ。
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