中国京劇「名優の死」に思うこと
中国京劇界は昨年10月9日に「老生(たちやく=成年男性役)」の譚元寿(1929年生まれ)を、次いで今年4月17日に「旦(おやま=女性役)」の杜近芳(1932年生まれ)を失った。
共に将来を嘱望された「童伶(こどもやくしゃ)」として初舞台を踏み、建国前後からは若手花形として舞台を盛り上げ、《政治》の狭間で激しく揺れ動いた京劇界を牽引し、多くの後身を育てた。「京劇名家」と呼ばれるに相応しいヴェテラン役者である。
«政治»と深いかかわりを持った譚家
中国の伝統芸能の世界では日本のように名跡継承制度はない。...