「東京ヴェルディ」社長の「スポンサー料着服」「銀座ホステスにマンション提供」疑惑
10億円もの債務超過
三浦知良、ラモス瑠偉ら多くのスター選手が輩出し、Jリーグ黎明期を支えた「東京ヴェルディ」。前社長の羽生(はにゅう)英之氏は、かつての名門を再建するため送り込まれたはずが、私利私欲をむさぼる行為を行っていた。親会社「ゼビオHD(ホールディングス)」の監査で判明した、不正の内容とは。
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J2でも首位争いすらできない老舗チーム。その転落は2009年、日本テレビのスポンサー撤退がきっかけだ。経営難に陥り「ヴェルディ消滅」も現実味を帯びるなか、Jリーグは異例の救済措置をとる。傘下の「Jリーグエンタープライズ」が全株式を一時的に引き受け、ヴェルディを直轄チームへと移行させたのだ。
社長の任に就いたのが、当時、Jリーグ事務局長だった羽生氏である。翌10年、羽生氏率いるヴェルディの新スポンサーにスポーツ用品販売のゼビオがついたことで、クラブは存続危機を脱する。
だがチームの成績は一向に上向かないまま時が過ぎ、折からのコロナ禍で10億円もの債務超過が見込まれるほどの窮地に陥った。ゼビオと羽生氏は経営の立て直しをめぐって対立し、その結果、昨年末、ゼビオはヴェルディを子会社するとともに、羽生氏の退任を発表。事実上の解任である。
不正の数々
羽生氏の不正は、子会社化に伴うゼビオの内部監査で見つかった。ゼビオ関係者によると、スポンサー料の着服疑惑に加え、ヴェルディの業績好転を装うためにスポーツクラブなどと架空取引を行い、売り上げの水増しの疑いも。経費の使い方も看過できるものではなく、
「年間30回近いゴルフのプレー代として、120万円を請求していた。なおかつ、銀座の高級クラブ“ジャンヌダルク”などには隔週で通い詰め、年間220万円以上を注ぎ込んでいました。しかも、お気に入りのホステスのために東京・白金台にマンションを借り上げていた。交際費の合計は、年間1000万円以上に上りました」(ゼビオ関係者)
法的措置の必要性も生じかねない不正であることから、ゼビオはJリーグに報告済みだという。羽生氏に訊くと、代理人弁護士を通じ、「監査結果は事実無根」とのこと。
なお、羽生氏は古巣Jリーグの参与に返り咲いている。本来なら、サッカー界からの追放もあり得るスキャンダルに違いないのだが。
「週刊新潮」2021年5月6・13日号「MONEY」欄の有料版では、経営権争いの経緯と羽生氏が手を染めた不正について詳報する。