サニブラウンはどこで何を? 100メートル日本記録保持者でも五輪に出られない可能性も?
代表入りは事実上6人に
開催する・しないの議論がかまびすしい東京五輪については、コロナ禍の影響もあって代表に内定していない選手も少なくない。例えば陸上男子100メートルは6月の日本選手権で決定する見込みで、選考は事実上の一発勝負。日本記録保持者のサニブラウン・ハキームも選ばれない可能性があるという。
東京五輪の男子100メートル出場枠は3つとされており、日本選手権の3位以内の選手が参加標準記録(10.05)を突破していればその時点で代表に内定する。
これを裏返せば、参加標準記録を突破していない選手が日本選手権の3位以内に入った場合どうなるかという問題が出てくる。厳密な基準があるわけではないが、現時点で可能な範囲でシミュレートしてみた。
日本陸連による出場要件を噛み砕くと、「代表内定条件」は以下の通りになる。
1. 日本選手権3位以内かつ標準記録突破
2. 日本選手権3位以内かつワールドランク上位
3. 1と2で埋まらない場合は、標準記録突破者のうち日本選手権順位が上の人から
4. 1,2,3で埋まらない場合は、ワールドランクが上で日本選手権順位が上の人から
現在、代表入りの可能性が高いのは、サニブラウン・ハキーム(22)、桐生祥秀(25)、小池祐貴(26)、多田修平(24)、ケンブリッジ飛鳥(27)、そして山縣亮太(28)の6名だ。
・サニブラウン(標準記録突破、自己ベスト9.97、ワールドランク39位)
・桐生(標準記録突破、自己ベスト9.98、ワールドランク17位)
・小池(標準記録突破、自己ベスト9.98、ワールドランク26位)
・多田(標準記録未達、自己ベスト10.07、ワールドランク42位)
・ケンブリッジ(標準記録未達、自己ベスト10.03、ワールドランク185位)
・山縣(標準記録未達、自己ベスト10.00、ワールドランク102位)
リレーより個人を優先
まず、サニブラウンから多田までの4人は五輪の参加要件を突破している。
各人について具体的に触れて行こう。
サニブラウンが日本記録を更新したのは2019年6月のことだった。
その年の10月に世界陸上に出場して以降、公式戦には1年半以上出ていない。
それもあって、日本記録ホルダーながら、ワールドランキングは39位と桐生・小池の後塵を拝している。
陸上短距離を取材する記者によると、
「昨年は五輪の延期を受け、在籍中の米フロリダ大を休学し、2017年に指導を受けた米国人コーチのチームに加入しました。日本に来ていたこともありましたが、基本的には米国で調整を続けていたと聞いています。年明けには抱負を発表し、“100メートル、200メートル、400メートルリレー、全てで金メダルを目指して頑張りたい”“1年余分に時間がもらえたので、そこを有効活用し、準備を着々と整えている段階”と話していました」
もちろん、日本選手権で4位以下ならば、五輪出場の夢は断たれる。
「リレーより個人を優先させたいと語っていたことがありますし、普通にやれば五輪のファイナリストに残れる実力はあります。懸念材料としてあげるなら、19年の世界陸上でも失敗したスタートでしょうか。そんな中、今月15日に米国の大会で走ることが伝えられました。1年8ヶ月ぶりのレースになりますね」
続く桐生も日本選手権で4位以下なら、ワールドランクで日本人最高位ながら出場できない。2017年の日本選手権では4位となって世界陸上代表を逃したこともある。
「2013年に鮮烈デビューをしてから、大きな故障もなく日本短距離をリードしてきました。その安定感は武器だと思います。今年の最速は10.30で、先日の国立で行われたテスト大会ではフライングで失格となりましたが、そのあたりはしっかり反省して選手権に臨むでしょうから、代表選出は堅いと見ています」
小池も同様に日本選手権で4位以下ならば、日本記録2位タイの記録を持っているが出場できない。
自己ベストの9.98を記録したのは2019年7月で、昨年の最高は10.19。今年は4月の大会において10.04で優勝を果たしたが4メートルの追い風参考であり、公式記録は10.26と冴えないものとなっている。
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