不倫相手は“禁断の女性” 数カ月に一回、ズルズルと…関係を絶てない男の懺悔告白
悪魔なのか女神なのか…
美咲さんとの結婚生活は順調だった。3年目に妊娠、双子の女の子が産まれた。
「いきなりふたりの子ができて、目が回るようでした。美咲は育児休暇をとっていたけど、僕は仕事上とれなかったし、けっこう残業も多い職場で、助けがないととてもやっていけない状態だった。そこで僕は義母に頼もうと言ったんです。美咲は気乗りがしないようでしたが、それでも心身ともにつらかったんでしょう、頼んでみると自分から言いました」
義母の自宅はそれほど遠くない。30分もあれば来られる距離だ。来てくれることになったと美咲さんが言ったとき、裕大さんは義母に電話をかけた。
「結婚してからほとんど会っていませんから、ごぶさたのお詫びもこめて話しました。義母は明るい調子で、『昼間だけなら少しは手伝えると思うから』と。うれしそうでした」
裕大さんもなるべく早く帰って家事をするように気を配った。美咲さんは母親についてはほとんど話さなかったが、反目し合っている感じでもなかった。
「子どもたちが10ヶ月くらいのとき、ひとりが急に具合が悪くなって病院につれていくと美咲から連絡が入ったんです。義母が家にいるけど、なるべく早く帰ってほしいと。定時で上がって帰宅すると、娘は大事には至らないものの入院することになったので、自分が付き添うとまた電話がありました。すると義母が『今日は店を休むわ』って。もうひとりの娘はママがいないせいか、妹が入院したせいか、その日はひどくぐずっていました。だから義母がいてくれるのはありがたかった」
その日の深夜、ふと目を覚ました裕大さんがリビングに行くと、義母がひとりで酒を飲んでいた。
「声をかけると、『あら、バレちゃった?』と言って義母が振り向いたんですが、その顔がとても妖艶で……。ドキッとしました。一緒に飲もうと誘われ、飲んでいるうちに義母がどんどん密着してくる。はねのけたいのにそれができない。気づいたら関係をもっていました」
あの時のことはきちんと思い出すことができない、と裕大さんは唇を噛んだ。思い出したくないのか、現実を受け止められないのか……。ただ、経験は体にも心にも深く刻まれた。
その後、義母は何もなかったかのようにふるまった。裕大さんもそうすべきだとわかっていた。
「だけどあの夜が忘れられなかった。それから娘たちが保育園に入ったり、美咲が仕事に復帰したりといろいろあったけど、心の中ではまた義母といつか……と思っていたのかもしれません」
あるとき、多忙な日々が続いていた裕大さんは、仕事が一段落したのを機に代休をとった。娘たちを保育園に連れていき、帰りになんとなく義母の自宅に寄ってみようと思いつく。店からすぐの自宅マンションを訪ねると、義母は「あら、久しぶり。元気だった?」と迎えてくれた。
「『二日酔いがひどくて迎え酒してたのよ、あなたも飲む?』って。朝っぱらから飲んでいる自由さに心惹かれましたね。つい僕も一杯やってしまって、また義母と関係を持ってしまった。娘の夫と関係をもつなんて、あちらもどういう考えなのかと思ったけど、おそらく義母は何も考えていない。そういう人なんです。いろいろ深刻に考えているのがバカバカしくなるほど、刹那的で楽天的。そこに言いしれぬ魔力があるというか」
義母と会っているときは「こういう生き方もある」と思えるのだが、帰宅して妻の顔を見るととてつもない罪悪感に苛まれる。それが辛くてまた義母に会ってしまう。頻度は決して高くないのだが、2ヶ月か3ヶ月に1度、彼は我慢ができなくなると義母のもとへ行く。義母は何も言わず、いつでも受け入れてくれる。
「だけどこれ、人としてダメですよ。わかっているんです。とんでもないことだって。でも義母は僕たちの関係について、まったく何も言わない。行くと受け入れてくれる。それだけなんです。悪魔なのか女神なのかわからない。2歳になった娘たちは本当にかわいい。娘たちのためなら自分の命も惜しくない。妻に知られたら、彼女は平常心ではいられないくらい心が乱れ、絶望するに違いない。そう思っているのに、時間がたつとふらふらと義母のところへ行ってしまう。どうしたら関係が断てるのか……」
やめたほうがいいのはわかっているが、やめられない。いっそ深間にはまってしまえば覚悟もできるが、相手は悲劇の恋愛を演じる気などなく、淡々としているからドロ沼にもならない。そこに彼の微妙な精神的欲求不満があるのかもしれない。
思いつめた裕大さんは、美咲さんには内緒で、現在、転勤願いを出している。家族で遠方に行けば義母のことは遠い過去になると考えているそうだ。そうなったら美咲さんは会社を辞めるしかないが、そうでもしないと家族の安定と平和を守りきれないと判断したという。早く転勤が実現するといいんですが、とつぶやいた裕大さん、年齢の割には眉間に深い皺が刻まれていた。
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