羽生結弦、ネイサン・チェンに惨敗 北京五輪で世界初「4回転半」を決められる可能性は
東京オリンピックに気を取られていたら、あと9カ月で北京オリンピック(冬季)が始まる。そこで気になるのが五輪3連覇を期待される羽生結弦選手(26)だ。最近はネイサン・チェン選手に惨敗を続け、優勝からも遠ざかっている羽生選手だが、スピンに磨きをかけて捲土重来を期す。
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世界フィギュア国別対抗戦・フリープログラム演技翌日の4月17日、スケートリンクに現れた羽生選手は、練習で何度も4回転半ジャンプ(4回転アクセル)に挑んでいた。跳んでは転び、またジャンプを試みては膝をつく。トライは17回にも及び、痛々しい姿に涙ぐむファンも。まるで、前日にチェン選手に負けた自分が許せないかのような執念が伝わってくる。
18日のインタビューでも、
「(4回転半ジャンプの成功は)近くなっていると思います」
と強気のコメントを崩さなかったが、天才スケーターにとって、今季の成績はとても納得のゆくものではなかったはずだ。
「羽生君の演技は悪くなかったのです。ケガもなかった。むしろチェン選手の出来が素晴らしすぎたシーズンでした」
とは、元フィギュア五輪代表の渡部絵美氏である。
「チェン選手は、4回転の種類をより多く持っています。いっぽう羽生君は、持っているものを出し切ってしまっているため、点数が伸びない。それが、国別対抗戦のフリーで約10点の差として表れたのだと思います」
加えて今年の12月には27歳になる。ここ数年で引退したスケーターの平均年齢は26・5歳。天才・羽生選手もまた例外ではないということなのか。
高く跳び過ぎた
「確かにフィギュア選手の活躍できる年数は短く、他のスポーツに比べてピークは早い。羽生君のような華やかさを持った選手は、次の世代を見回しても出てきていませんが、世界選手権では若手の鍵山優真選手にも敗れています」
と渡部氏。だが、4月22日、日本スケート連盟は、羽生選手を2021年度の強化選手に選んだ。もちろん五輪3連覇を期待してのことだ。
そこでフィギュアスケート解説者の佐野稔氏が期待するのは、やはり世界初の4回転半ジャンプだ。
「国別対抗戦では2本目のジャンプで失敗しましたが、それは高く跳び過ぎてしまったから。普段から4回転半の練習を重ねていることで、脳が4回転半の跳び方を覚えてしまっていたのです」
4月22日に開かれた「スターズ・オン・アイス」では、5年前に使った「Prince」の曲で登場した羽生選手。2016年、世界初の4回転ループを決めた意気込みをもう一度示したかったのだろうか。
誰よりも五輪での戦い方を熟知している羽生選手。北京の本番一点に照準を合わせ、4回転半ジャンプの成功で限界を超えてほしいものだ。