皇太子訪欧から100年:いま二重写しとなる日中の「膨れた国家意識」 饗宴外交の舞台裏(270)
今年は昭和天皇が皇太子時代に欧州歴訪を行ってまる100年。裕仁皇太子は英国など6カ国を回り、第一次大戦後、列強と並ぶ大国になった日本の存在を見せつけた。実は皇太子の英国到着の直前、英国で一冊の日本に関する本が上梓された。『A Diplomat in Japan』(邦題『一外交官の見た明治維新』坂田精一・訳/岩波文庫、鈴木悠・訳/講談社学術文庫)。著者は駐日英公使も務めたアーネスト・サトウ(Ernest Satow)。幕末・明治維新の研究にとって貴重な史料だが、日本では終戦まで禁書扱いになっていた。...