コロナ交付金2500万円で「巨大イカ像」 海外メディアも注目で制作した能登町は困惑

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 石川県能登町にある道の駅「イカの駅つくモール」の敷地内に、今年3月末登場した「巨大スルメイカ」が、世間を賑わせている。海外メディアの注目も集めたこのモニュメント、税金の無駄遣いという声も上がっているが……。

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 全長13メートル、幅9メートルの繊維強化プラスチック製の立派な「巨大スルメイカ」。口の中に入って捕食されたり、足で巻き付かれたりといった体験をできるのがウリという。約3000万円の総工費のうち2500万円は、新型コロナウイルス感染症対応として国から能登町に配分された「地方創生臨時交付金」が充てられた。これに「無駄遣いではないか」との批判が噴出しているのだ。

 能登町ふるさと振興課の担当者は、

「国からの臨時交付金の約8億円の中から、感染拡大防止や雇用維持などのための予算をしっかりと確保した上で、一部をモニュメントの設置費に充てました。新型コロナウイルス収束後を見据え、観光客を呼び込むためにPRの目玉となるものを作りたいという考えから計画されたものです。批判の声が上がっていることは、当然、承知しています。マスコミで取り上げられてからは問い合わせが殺到し、通常の業務に支障が出ることも……」

 もっとも、そのPR効果はある意味絶大で、世界中のメディアがこの「巨大スルメイカ」を写真付きで取り上げた。例えば、イギリスのBBCニュースは〈新型ウイルスのパンデミックが収束していない中で巨大イカに多額の資金を投じた行政には、一部から批判の声が上がっている〉と紹介。アメリカのニューヨーク・タイムズも〈住民からは臨時交付金の使い道としてより適切な使い道が無かったのか疑問が出ている〉との記事を掲載した。さらには、ブラジルや北欧の新聞社までもがニュースサイトで“日本の巨大イカモニュメント”について報じているのだ。

町議会は全員賛成

 そもそも、計画段階で「巨大スルメイカ」に反対する者はいなかったのだろうか。

 能登町議会で「巨大スルメイカ」の設置費用の予算が可決されたのは、昨年7月のこと。議事録をさかのぼると、持木一茂町長は〈さらなる観光誘客や情報発信へとつなげるため、イカの駅つくモールを全国に発信するシンボルとして、巨大なイカのモニュメント製作に係る所要経費を計上しております〉と説明している(令和2年第5回能登町議会7月会議での発言)。

 これに対し14人の町議たちからはモニュメントに関する質問は一切出ず、同じく市長から説明のあった「プレミアム商品券」に関して、ある議員がその委託販売場所に関する質問をしただけで質疑は終了。「イカ」予算は、そのまま可決されたのである。

 実際、議会に出席した能登町議は、

「我々町議は、みんなイカのモニュメントに賛成していました。アイデア自体は、地域振興課から出たものでしょうが、議会でも反対や異論は出ていません。新型コロナで困っている人への即効性のある支援は、当然、必要です。しかし、モニュメントのように長い目で見て能登町を盛り上げてくれる観光資源もまた、我々には必要なのです

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