韓国で「ウェブトゥーン」原作のドラマが人気 台頭しているワケと注目の俳優
「整形もリアルに」
韓国ドラマの勢いが止まらない。Netflixで配信されている韓国ドラマの中には日本円で数十億円規模の制作費を投じた作品もあり、映画さながらの迫力で視聴者を獲得している。中でも、最近特に人気なのが韓国発のデジタルマンガ「ウェブトゥーン」原作のドラマだ。
日本のNetflix視聴ランキングでは長い間、『愛の不時着』と『梨泰院クラス』が人気を二分していた。この『梨泰院クラス』もウェブトゥーン作品が原作。ウェブトゥーンは、「LINEマンガ」や「ピッコマ」だと無料で読め、日本でもシェアが広がっている。
数年前からウェブトゥーンにハマっていた日本人女性に言わせると、
「日本のマンガにはないテーマやストーリー展開が新鮮です。学歴至上主義や格差社会、外見がモノを言うお国柄だから整形もリアルに描かれている。ストーリーも面白くて、読み始めると止まらなくなります」
韓国人女性によれば、ウェブトゥーンの最大の強みは「画力よりも“読ませるストーリー性”」だという。
「絵も大事だけれど、読者に『次回が待ち遠しい』と思わせることが重要です。そういうストーリー展開になっている作品がヒットしています」
唯一の問題はキャスティング
では、なぜウェブトゥーン作品がよく映像化されるのか。
近年、韓国ではケーブルテレビ局の開局が続き、チャンネル数も増えている。チャンネル数が増えれば、当然コンテンツも必要になる。オリジナル原作でドラマ制作をするにしても限界があり、外国のドラマをリメイクしたり、マンガ原作のドラマが増えている。
紙媒体とは違い、ウェブトゥーンで配信されるマンガには、読者がコメントを書き込むことができる。制作会社にすれば、高い評価を得たマンガを映像化すれば、ヒットする確率が高いというわけである。
最近はドラマを見る視聴者の目が非常に厳しく、時代劇等ではたびたび歴史歪曲論争が起こっている。いくらフィクションとはいえ、あまりに史実を逸脱しているので、視聴者が反発するのだ。今年に入ってからも超大作『朝鮮駆魔師』が歴史歪曲と批判され、わずか2話で打ち切られた。マンガ原作であれば、そうしたトラブルが生じることもない。
唯一の問題は、マンガのキャラクターと映像作品に出演する俳優をいかに一致させることができるかである。人気マンガには熱狂的なファンがいるため、キャスティングは慎重でなければならない。
2010年から連載がスタートした『チーズ・イン・ザ・トラップ』は閲覧数の累計が11億ビューを記録した大人気マンガだ。ドラマ化する際、男性主人公は早々と決定したが、女性主人公のキャスティングが難航した。候補として名前の挙がった女優がネット上で原作のファンから叩かれ、出演を固辞したからだ。最終的に演技力に定評のあるキム・ゴウンに決定したが、原作ファンを満足させたとは言い難い。
日本でもマンガ原作の映像化は簡単ではないが、韓国の場合、熱狂的ファンの目がより厳しい。ある程度、ビジュアルが似ていないと放送前から批判されることになるようだ。
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