小池都知事が「東京五輪中止」を切り出せないワケ 彼女の前に立ちはだかる大きな壁

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“盟友”との報道も

 だが自民党のベテラン国会議員は、こうした報道を真っ向から否定する。

「小池さんが五輪の中止や再延期をぶち上げるなんて報道は、マスコミが面白がってやっているだけですよ。もし本当にそんなことを公言したなら、小池さんと官邸の関係は致命的になる。特に小池さんにとっては良好な関係を維持し、自分と自民党をつなぎ止めている二階俊博幹事長(82)にケンカを売るようなものです。そんな馬鹿なことを小池さんがするとは思えませんね」

 2020年の都知事選で、二階幹事長は小池都知事の支持を表明。自民都連は反発したが、最終的に候補者の擁立を諦めざるを得なかった。

 19年8月、読売新聞は「小池氏、二階氏と蜜月強調 都知事選 自民都連は人選急ぐ」の記事を掲載した。小池知事と二階幹事長が、小池氏の支援団体が東京都内で開いた会合にそろって出席したと伝えたものだ。

《両氏は新進党や保守党などで共に活動した盟友で、二階氏はこれまでも、小池氏が立候補すれば支援する考えを示してきた。小池氏には再選に向けた与党内の後ろ盾を得たい思惑があったとみられる》

都知事の本心は?

 そもそも2人は1994年、新進党の結党に参加。98年には自由党に移った。小池は2002年、二階は03年に自民党へ復党した。

 二階と小池を“上司と部下”と評したメディアもあった。10年もの間、「同じ釜の飯を食った同志」と言っても過言ではないだろう。

「確かに『こんな感染状況で五輪が開催できるのか』と懸念している国会議員は少なくないでしょう。小池さんの本心は『中止』かもしれません。しかし、現状では五輪問題に関して、二階さんは菅義偉首相(72)と軌を一にしており、開催で足並みを揃えています。もし小池さんが東京五輪の中止を一方的に訴えれば、自民党内で二階さんの立場も危うくなってしまいます。現状を冷静に見れば、小池さんに関する報道は観測記事の範疇を出るものではありません」(同・ベテランの自民党国会議員)

 小池都知事は5月6日、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズのオンラインイベントに登壇した。

 その際、五輪開催について問われた小池知事は「世界の希望のかがり火としての役割を果たし、人類の結束の象徴となるきわめて重要なイベントだ」と開催に意欲を示したという。

デイリー新潮取材班

2021年5月8日掲載

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