小池都知事が「東京五輪中止」を切り出せないワケ 彼女の前に立ちはだかる大きな壁
7月に都議選
時事通信は5月1日、「五輪中止・延期、野党に強まる声 無観客の財政負担増にも懸念」との記事を配信した。
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見出しを読む限り、東京五輪に対する野党の姿勢を紹介した記事かと思うはずだ。しかし、この記事が大きな反響を呼んだのは、最後に小池百合子都知事(68)のことに言及していたからだろう。
《「都民ファーストの会」を率いる東京都の小池百合子知事が今夏の開催断念を、7月4日投開票の都議選公約として打ち出すとの臆測も流れており、動きを注視している》
もともと一部の識者が4月頃から「小池都知事は都議選のため、東京五輪の開催断念を発表するのではないか」などとSNSに投稿。朝日新聞デジタルも4月29日、「『五輪見届けたいが…』 都庁職員からも中止求める声」の記事を配信していた。
これに時事通信の報道が加わり、更に五輪中止の可能性を取り沙汰する報道は増えた。例えばスポーツ報知の電子版は、フジテレビ系列の「バイキングMORE」(平日・11:55)が5日に放送した内容を次のように報じた。
◆「坂上忍、東京五輪中止は『言える人が1人いるじゃん。小池さん』」(スポーツ報知:5月5日)
更に日刊ゲンダイは5月7日の紙面に、次のような記事を掲載した。
◆「まさか都議選の“選挙公約”? 五輪返上6・1ぶち上げの可能性 アンケートで曖昧回答」
世論調査も逆風
こうした報道が相次いだ背景の1つに、世論が東京五輪の開催に否定的なことが挙げられる。
毎日新聞が3月14日に発表した世論調査で、東京五輪を「中止すべき」が32%で最多。「再延期」も17%だった。
産経新聞とFNN(フジ・ニュース・ネットワーク)が4月19日に発表した調査では、「中止もやむを得ない」は56.8%、「再延期せざるを得ない」は17.6%だった。
時事通信が4月16日に発表した調査では、「中止する」が39.7%、「再延期する」が25・7%だった。
3つの世論調査では、「中止・再延期」の回答が最も少ない毎日新聞でも49パーセントに達し、産経と時事は過半数を超えた。都議選が近づいている小池都知事が、こうした声にどう対応するかに関心が集まっているわけだ。政治担当記者が言う。
「今回の都議選で、都民ファーストの会は苦戦が予想されています。また小池都知事は、いずれ衆議院に復帰し、女性宰相の座を目指すという観測は根強いものがあります。今、自分が率先して五輪の返上や再延期を訴えれば世間から喝采を浴びる。こう小池知事は判断しているのではないかという見立てが、『五輪返上論』の根拠になっているようです」
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